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【特別企画】オーディオ銘機賞 銅賞受賞

AAVA回路も進化したアキュフェーズのプリメイン「E-280」。スピーカーを確度高くドライブ

2020/12/09 石原 俊
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■ダンピングファクターも向上、さらなる低ノイズを追求

アキュフェーズがベーシックなプリメインアンプのE-270をE-280に進化させた。同社はSN比とスピーカードライブ能力の向上を改良の重点項目としているが、本機も例外ではなく、さらなる低雑音化が追求されている。

ACCUPHASE プリメインアンプ「E-280」330,000円(税抜)

同社独自の電子式音量調整回路であるAAVAの最上位ビットが2パラレルから4パラレルに増設された。またAAVAの電流を2倍にすることでインピーダンスを半分にしている。シングルエンド入力は1dB、バランス入力は5dBも低雑音化したという。

パワーアンプ部の回路はE-270と同じで、終段はバイポーラトランジスターを片チャンネル当たり2基並列駆動させたものだ。しかしながら、パワーアンプとスピーカー出力端子間のパターンと配線を見直し、さらには保護回路にMOS-FETスイッチを起用することで、スピーカーのドライブ能力の指標であるダンピングファクターの値をE-270の400から500に向上させている。

E-280のリアパネル

回路のコンパクト化も見逃せない。トップパネルを外すと、中央に大型のトランスとコンデンサーを擁する電源回路が見える。その両側には左右チャンネルのパワーアンプ部がマウントされている。

E-280の内部写真

右チャンネルのパワーアンプ部の隣に白っぽいパネルが見えるはずだ。これはオプションスロットを挿すためのスペースである。E-270までは1基のオプションスロットしか装着できなかったのだが、本機では2基装着できる。したがって、それまであきらめざるを得なかったフォノイコライザーとUSB-DACの両方を装備できるようになったのだ。ユーザーにとってこれは福音であろう。

最後にアキュフェーズの新試聴室で聴いた印象を記しておこう。この新試聴室にはレファレンススピーカーとしてファインオーディオのF1-12がセッティングされている。このスピーカーは鳴りにくいことで有名なのだが、そのF1-12をかなりの確度でドライブしていたのが印象的だった。ジャンル別の得手不得手はなく、どのような音楽でも分け隔てなく楽しむことができる。トーンコントロールやコンペンセーターを巧く使えば、思いのままのサウンドを我が物にすることができる。


【E-280の仕様】
●定格連続平均出力(両ch同時動作 20Hz〜20kHz):120W/ch(4Ω)、90W/ch(8Ω 定格負荷)●全高調波歪率(両ch同時動作 20Hz〜20kHz):0.05%(4〜16Ω)●周波数特性:定格連続平均出力時 20Hz〜20kHz 0 −0.5dB●ダンピングファクター(8Ω 50Hz):500●SN比(定格出力時 入力ショート A-補正):BALANCED INPUT 96dB、LINE INPUT 107dB●消費電力:無入力時 52W、電気用品安全法 249W、8Ω定格出力時 345W●サイズ:465W×151H×420Dmm●質量:20.4kg

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