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ワイヤレス再生にも対応し利便性も向上

デザインも音質も、お値段以上。House of Marleyのレコードプレーヤー「STIR IT UP WIRELESS」を聴く

公開日 2019/10/23 06:30 土方久明
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音楽は、充実した生活を送るために重要な要素のひとつだ。ライブやフェスに行って盛り上がったり、自宅でお気に入りアーティストの音楽を聴いたり、オーディオマニアに限らず多くの方が楽しんでいることだろう。特に近年は、ふだん過ごすリビングなどの生活空間で音楽を聴くスタイルが増えている。生活空間に音楽の環境を取り入れようとするので、必然的にオーディオ製品に対するデザイン要求度が上がっているというのも最近の特徴だ。


そのような中で存在感を高めているブランドが、House of Marley(ハウス・オブ・マーリー)である。「地球環境に配慮したデザイン・アイデンティティ」をフィロソフィーに掲げ、様々なウッド素材や再生プラスチック素材を採用したデザイン性の高いBluetoothスピーカー、ヘッドホン、イヤホンをラインナップし人気を博している。そのHouse of Marleyから今回、新型のレコードプレーヤー「STIR IT UP WIRELESS」が登場した。

「STIR IT UP WIRELESS」¥OPEN(市場想定価格29,376円前後)

本モデルは、音質と機能、デザインが評価され、ローリングストーン誌の “BEST BUDGET TURNTABLES” にも選出された前モデル「Stir It Up」にBluetooth機能を搭載した製品。生活空間を彩るスタイリッシュな意匠が印象的である。巷で再燃中のアナログ人気に合わせ、リビングでカジュアルにレコード再生にトライしたい方にうってつけだ。

本体サイズは幅42cm×奥行き34.5cmとコンパクトで、重量も約3.6kgと取り扱いに優れる。駆動方式はベルトドライブで、カートリッジはコストパフォーマンスの高さで定評のあるオーディオテクニカ製「ATN-3600L」を装着済み。更にMMフォノイコライザーを内蔵しているので、ライン入力付きのアンプなどに直接入力が可能だ。

また先述した通り、本機の大きな魅力はBluetooth機能(Bluetooth 4.2)を搭載したことで、House of MarleyのワイヤレススピーカーやヘッドホンのようなBluetooth対応の再生機と組み合わせた、シンプルなシステムでワイヤレスのレコード再生を実現する。通信範囲も最大10mと広くカバーしてくれる。

他にも、3.5mmステレオミニジャック搭載でワイヤードヘッドホンも接続できたり、USBケーブルでパソコンと接続して録音も行えるなど、多機能だ。付属品はRCAラインケーブルのほか、録音用のUSBケーブル、ドーナツ盤と呼ばれる7インチレコードの再生に対応するEPアダプターも用意。追加パーツを必要とせずスムーズに再生まで辿り着ける。

ワイヤレス機能だけでなく、有線ヘッドホンとの接続やUCB経由でのPC録音機能などさまざまなライフスタイルや使い方に対応する多機能性も魅力

今回はSTIR IT UP WIRELESSを筆者宅に持ち込み、まずマランツの一体型レシーバー「M-CR612」とモレルのエントリースピーカー「VARIO X」と組み合わせて、STIR IT UP WIRELESSのクオリティチェックを行った。

早速セッティングだ。レコードプレーヤー設置のコツは水平でしっかりした台に乗せる事。水準器を使って水平を確認すると良いだろう。設置が終わったら、プラッターとモーターをまたぐ形でベルトを装着してプラッターを乗せる。

次に針圧調整用のウエイトを取り付けて針圧とアンチスケーティングを調整するが、今回は付属カートリッジ「ATN-3600L」の指定値である3.0グラムに設定した。初期設定を含むこれらのセッティングが、アナログ再生の醍醐味だ。針圧や水平を更に精密に取れば、更に音質を上げることもできる。

組み上がったSTIR IT UP WIRELESSは、大変美しいディテールだ。キャビネット上部は竹、下部はリサイクルプラスチックボトルで構成されるREWINDファブリックがあしらわれ、そこに乗るターンテーブルプラッターはリサイクル可能なアルミニウム合金製。底部を支えるインシュレーターはREGRINDリサイクルシリコンで、アースフレンドリーな素材が質感にメリハリを出しながら絶妙に組み合わせられている。そしてマーリーのロゴが光る金属プレートが誇らしげにビスで装着されている。

デザインにこだわったエントリークラスのレコードプレーヤーは多いが、環境に配慮しつつデザインを極めた本機のアイデンティティは一歩抜きん出ていると思う。筆者はこれまでにもマーリーの製品をいくつかレビューしてきたが、このこだわりには、いかにもHouse of Marleyらしさを感じる。

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