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【特別企画】プリ/ヘッドホンアンプを内蔵

CHORD「Hugo TT 2」レビュー。唯一無二の“滑らかな音の質感”を聴かせてくれる多機能DAC

2019/09/02 生形三郎
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コンパクトな筐体に最新鋭DACと多彩な機能を凝縮

CHORDから同社DAC/ヘッドホンアンプ/プリアンプの最新モデルとなる「Hugo TT2」が登場した。本機は、コンパクトな筐体に高性能なDACやヘッドホンアンプ機能、そしてバッテリー駆動の搭載を実現した革新的な存在として一世を風靡した、「Hugo」の最新バージョンである。

CHORD「Hugo TT 2」640,000円(税抜)

Hugoは、後に「Hugo TT」、つまりは“Table Top”へと進化し、据え置き型タイプでさらに充実したサウンドを楽しめるモデルへと展開されたが、それをさらにブラッシュアップしたモデルが本機「Hugo TT2」である。

手頃なサイズ感の筐体に、DAC、ヘッドホンアンプ、プリアンプ機能、そして無線接続機能というオーディオ再生に必要な要素を凝縮しつつ、確固たる音質クオリティを実現するその姿は、まさに、新たなオーディオコンポーネントのスタイルを代表する存在といえるだろう。

CHORDのDACは、FPGAによる「WTAフィルター」や「パルスアレーDAC」などによって、同社ならではの高い音楽性を備え、多くの熱狂的な支持を集めていることは、もはや説明不要だろう。発売と共に瞬く間に話題となり、ハイエンドファンやオーディオ評論家のオーディオシステムへとこぞって採用されたことも記憶に新しいフラッグシップの「DAVE」、そしてその魅力をより手軽に、しかしながら高いクオリティで楽しめる「Qutest」など、いずれもが大ヒット作といえるものだ。

筐体上部中央の円形の窓からは、内部の基板を見ることができる

そのラインナップの中で本機「Hugo TT2」は、グレード的にもサイズ的にもミドルクラスに位置し、優れた音質のライン出力やヘッドホンアンプ機能、そして設置性の良いサイズを備えたモデルである。


従来モデルから性能を大幅向上させた独自DAC回路を搭載

従来機Hugo TTから変更された大きなポイントは、まずは、DACアルゴリズムの大幅な進化だろう。TTでは26,368タップを誇っていたWTAフィルターが、TT2では4倍弱となる98,304タップを達成したというから驚きだ。

また電源回路も大幅に拡充され、これまで10ファラッドだったキャパシターの容量が、30ファラッド×6個という、驚異的な増加が実現されている。これらの変更だけでも、さらなるクオリティの進化を予想できる。なお、従来のHugo TTで搭載されていたバッテリーは非搭載となった。

機能面では、再生ファイルの最大対応レートが、TTのPCM384kHz/32bit及びDSD128/1bitから、PCM768kHz/32bit及びDSD512/1bitへと大幅に引き上げられた。

Hugo TT 2の背面端子部

また、出力端子としてこれまで通りXLRバランスとRCAアンバランス、そして3.5mmと6.3mmのヘッドホンアウトに加えて、今回新たに、デュアルBNC DX アウトプットが装備されている。これにより、将来的なアップデートによって、同社のスタンドアローン・アップスケーラーである「Hugo M Scaler」との接続が可能となり、DAVEやQutest同様に、DACシステムに組み合わせて100万タップのアップサンプリングを提供するフィルターアルゴリズム「M Scaler」が使用可能となっている。

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