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コンセプトシリーズの魅力をハイブリッド

これがゾノトーンでしか味わえない音。新“Grandio”のインターコネクトケーブル「AC-1」レビュー

2019/07/26 生形三郎
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ゾノトーンの「Grandio」シリーズに、インターコネクトケーブル「Grandio AC-1」が登場した。

Grandio AC-1は、昨年発売され大きな注目を集めたスピーカーケーブル「Grandio SP-1」のインターコネクト・バージョン(RCAおよびXLR)となる。これまでの「Grandio」を超える新たな「Grandio」として生まれ、ゾノトーンにおける新機軸のサウンドを築いたその魅力は、インターコネクトケーブルとして如何に昇華されたのか? その実力をここで検証したい。


ブランドのコンセプトシリーズの魅力を凝縮したハイブリッドモデル

Grandio AC-1は、ゾノトーンのお家芸でもある、異種素材ハイブリッド導体によるケーブルだ。線径の異なる5種類の導体(高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、モダーン錫メッキ高純度銅、高純度無酸素銅OFC)を、エラストマーで覆った天然綿糸を囲むように均等配置。ホットとコールド併せて、それぞれ絶縁体を被せた完全独立の10芯もの導体が配置されるDMHC(独立多芯導体螺旋・並行構造)方式を採ることが特徴だ。

「Grandio AC-1」(RCA)¥85,000 1.0m・税別

「Grandio AC-1」(XLR)¥89,000 1.0m・税別

ケーブル構成としては、高純度ポリエチレンによる絶縁体、銅編組によるシールド、そしてPVCの上にゾノトーンカラーによる2色のナイロン編組を施した2重ジャケットという内容になっている。コネクタは、RCAはロジウムメッキ端子(コレットチャック方式)、XLRはノイトリック製の金メッキタイプが採用されている。

ケーブルの断面イメージ。異種素材ハイブリッド導体をDMHC方式で配置する

ここで注目したいのは、ずばり新たなGrandioで目指した音質だ。ゾノトーンと言えば、パワフルで押し出しが良く、なおかつ情熱的とも言えるサウンドが魅力だと筆者は認識しているが、その同社ならではの持ち味に、スケールの大きな「拡がり感」と「奥行き感」を加え、高次に融合させることを狙って設計されているのだ。

同社はこれを「重厚な力感でJAZZファンの熱烈な支持を集めたBlue Spiritシリーズと、拡がり感と奥行き感でファンを獲得したニュー・クオリティ・グレードのRoyal Spiritシリーズの融合であり、Grandioを超えたGrandio」と表現している。つまり、同社の両コンセプトシリーズで築いた魅力のハイブリッドと言うことだ。

ドラムスの快活さは特筆もの、立体感に富んだ描写が楽しめる

それでは、早速その実力を確認していきたい。試聴機材だが、RCAとXLR、両方の魅力をなるべく同一条件に近い状況で試聴する意味も込め、DAC(ラックスマン「DA-06」)とプリメインアンプ(ラックスマン「L-509X」)間のバランス、アンバランス接続にGrandio AC-1を使用した。

RCAコネクタはキャップがニッケルメッキ/ピンがロジウムメッキ、ノイトリック社のプロ用端子採用のXLRコネクタは接触部分を金メッキ仕様としている

はじめに、ジャズ・ピアノトリオの音源を聴いてみる。主役のフルコンサートサイズのピアノは、幾分、骨格のがっしりとした音像で描かれる。低弦側に重厚感が生まれて温もりのあるタッチになりつつも、紡がれるフレージングが明瞭さを増す。それに伴って、演奏空間へ響く余韻が明るく浮かび上がる。

また、打鍵された瞬間のアタックがすっくと立ち上がり、演奏の線が滲まない筋の通った音でもある。それでいて、高域側に歪みっぽさや雑味は微塵もない。高域弦が強打されても決して鋭角的になることはない。

そして、特筆なのはドラムスの快活さだ。スネアやバスドラムは、まるで口径がひと回り大きくなったかのようにサイズや存在感が増し、温かみある音色を帯びる。同時に、ワイヤーブラシによるスネアワークや、リズムを刻んで打ち鳴らされるライドシンバルの動きが、リアリティの高い緻密さで明瞭にピックアップされる。アップライトベースも、まるで弦を必死で弾いているような高揚した迫力ある表情と、指先の動きが明瞭に浮かび上がるきめ細やかさがある。

総じて、積極的かつ心地よい音色と、立体感に富んだ描写で、3人のアンサンブルを快適に楽しませてくれた。

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