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2倍の駆動力を実現する“パラレルBTL”も試した

大ヒット機が “正常進化” 超えた飛躍、 マランツの手頃・小型な本格オーディオ「M-CR612」レビュー

2019/04/24 土方久明
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マランツ「M-CR612」を3つのスピーカーシステムと組み合わせて、その音を聴いた
日本が誇る老舗オーディオメーカーのマランツから、ネットワークCDレシーバー「M-CR612」が発売された(関連ニュース)。

シリーズの第5世代となるM-CR612は、30ヶ月連続シェアNo.1を獲得したヒットモデル「M-CR611」(2015年発売、関連ニュース)の後継機という意味でも注目が集まっている。M-CR611はミニコンポの範疇を超えた音質が高く評価されただけでなく、4chアンプ出力によるバイアンプ対応というミニコンポとは思えないマニアックな仕様にも脚光が当たった。

この人気モデルが約3年半ぶりにモデルチェンジしたとあっては、期待せずにはいられない。むしろ、ファンや市場の期待の大きさを考えると、開発陣のプレッシャーを察してしまう。

しかし結果として、M-CR612は期待を上回る内容をひっさげて登場した。その進化は大きく3つある。1つは音質面での大幅なベースアップ。2つめは、4chアンプ出力搭載のメリットをあらゆるスピーカーで享受できるようにした「パラレルBTL」。3つめは、HEOS対応によるネットワーク機能の大幅な進化だ。


コンパクトサイズでも多彩な再生ソースに対応

歴代のM-CRシリーズは、小型ボディで優れた音質を実現することをコンセプトにしてきた。本機もサイズは従来機を踏襲し、280W×111H×303Dmmとかなりコンパクト。一人暮らしの部屋やリビングなど生活空間にも気軽に置けるはずだ。

マランツ「M-CR612」(70,000円・税抜)

コンパクトなのに本体の質感は高いことも好印象だ。マランツ独自の3ピースデザインを継承しているが、従来機と比較してフロントパネルはボタン配置がシンメトリー化されており、さらに落ち着いた雰囲気を湛えた。ディスプレイは有機ELで、文字も大きく視認性が高い。光沢が美しいトップパネルは、ハードコートによって極めて傷が付きにくいというアクリル素材が用いられている。初めてオーディオシステムを導入する方も、筆者のようなオーディオマニアも納得の品位あるデザインにそそられる。

本体の質感は高い。イルミネーション切り替え+消灯の機能は前作から引き続き搭載されている

天板には 「タワシで擦っても傷がつかない」というハードコート・アクリルトップパネルを採用する

オールインワン・タイプのオーディオ機器は、再生できる音源の種類もポイントになるが、本機はそこも強力で、HEOS対応によって従来機からさらに進化を果たした。CD、FM/AMラジオ(ワイドFM対応)に加え、ハイレゾを含む音楽ファイル、音楽ストリーミング、光デジタル経由でのテレビの音声までカバーしているのだ。

フロントパネルはボタンがシンメトリーに配置。ディスプレイは視認性の高い有機ELを採用


背面端子部

音楽ファイルの再生は、ネットワークおよびUSBメモリー経由での音楽ファイル再生にまで対応する。最大で192kHz/24bitのPCM、5.6MHz DSDのハイレゾ再生も可能だ。DSDファイルは従来の2.8MHzから5.6MHzへ拡大してくれたのが嬉しい。筆者としては11.2MHzのDSDにも将来的に対応してくれたら嬉しいが、現在ダウンロード販売されているハイレゾのほとんどが、192kHz/24bit PCM、5.6MHz DSD以下のファイルなので、ユーザーが不便を感じることはまずないだろう。

音楽ストリーミングサービスはAmazon Music、AWA、Spotifyなどが再生でき、HEOSアプリから快適な再生操作も行える。Appleの最新ワイヤレス再生規格「AirPlay 2」にも対応。Bluetooth経由でのワイヤレス再生も行えるなど、スマートフォン/タブレットなどとの相性も抜群だ。ちなみにネットワークは接続は、有線LANとWi-Fiの両方を搭載しており、環境に応じて使い分けることができる。

CDの再生も行える

本機のリモコン

HEOS対応は本機のユーザービリティを大きく向上させた。いくら多機能機でも、操作性が悪ければ意味がなく、操作アプリの仕上がりが製品の満足度を左右することも、もはや言わずもがな。HEOSの操作性は高く、ネットワークオーディオに慣れていないユーザーでも快適に操作が行えるはずだ。

ネットワーク基盤にはHEOSモジュールが搭載された

光デジタル入力は、信号入力を感知しての自動電源オンに新たに対応。テレビをオンにしたときにM-CR612も自動で立ち上がるので、テレビとの組合せもより便利になった。また、じわじわとお茶の間に浸透してきた音声アシスタント「Amazon Alexa」によるコントロールにも対応。このように、ただ多機能というのではなく、現代のコンテンツ事情も踏まえた仕様になっているところも評価できる。

4ch分のスピーカー出力を備え、バイアンプ駆動に加えて、2組のスピーカーを独立して使用できるなど、従来モデルからの特長も引き継いでいる。一方、ヘッドホンアンプ回路は刷新され、3段階ゲイン切り替え機能も備えるなど、ヘッドホンへの対応力も向上した。

4ch分のスピーカー出力を搭載


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