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最大30%の遅延低減は実感できるのか

新「AirPods」でゲームの遅延におさらば? FGO/デレステでガチ検証!

2019/03/27 編集部:押野 由宇
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アップルが完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」の第2世代モデルを発表した(関連レビュー)。

新「AirPods」

“完全ワイヤレスイヤホン” という言い方を知らなくても、「ああ、あの耳からぶら下げるやつね」とみんなが知っている、「うどん」ことAirPods。そんなAirPodsが新しくなって何が変わったのか?

ワイヤレス充電ケースの登場や音声でのSiri対応などが挙げられるが、重要なのは「H1」チップを搭載したことで、接続の高速化・安定化を実現。サウンドクオリティを高めるとともに、ゲームの遅延(レイテンシー)が最大30%改善されたということだ。

これまでBluetoothイヤホンを使ってゲームをしたことがある方なら、あのうっとうしい遅延を感じたことがあるはずだ。それが30%も低減したらしい。なるほど、それはすごい。そんなに改善できたのか。えっ、本当に?

これが本当なら数ある完全ワイヤレスイヤホンのなかでも、AirPodsを選ぼうという意欲がわくというものだ。さっそく、編集部にある新旧AirPodsを使って試してみた。なお、検証にはiPhone 7 Plusを用いている。

新「AirPods」でゲームの遅延をチェック

Netflixで映像鑑賞

ゲームを起動する前に、まずは映画における遅延を確認してみる。『勇者ヨシヒコ』など日本作品だとリップシンクが分かりやすいかと思い新旧AirPodsを比べてみたが、正直言ってあまり差はわからなかった。というか、旧AirPodsでもそれほど遅延を感じないのだ。

旧AirPodsを着けたまま、映画『セッション』からドラマーとバンドによる “ラスト9分19秒の衝撃のセッション” を見ても、スティックがタムを打ち付ける映像と音にそれほど大きな違和感を受けない。新AirPodsに変えてみると、なんとなく改善した感じもあるが、ブラインドで分かるかと言われると微妙なレベル。もっと言うなら、どっちでも別に遅延が気にならない程度の速度だ。

シビアなタイミングを要求されないゲーム

ちょっと回り道をしたが、ゲームの遅延を改善したというのだから、ゲームで試してみる。最初に「音の遅延がゲームプレイに大きな影響は与えないが、ズレていると気持ち悪い」タイプのゲームとして『Fate/Grand Order』(FGO)を起動した。

まず旧AidPodsを着けてプレイしてみると、スマホ直出しに比べて確かに遅延している。例を挙げると、スタート画面でタップすると「ポン」という音がするが、通常なら指を押した、もしくは離した瞬間に音が鳴るところ、旧AirPodsだとタップした指が離れきってから「ポン」と鳴る。

また「バトル」パートでスキルを選択した際の「チャキッ」という音が、スキルの説明が表示されたほんのわずかに後に聞こえる。全体的に一拍遅れて、というほどではないが、半拍遅れている感じはする。

一方で、新AirPodsだと、間違いなく遅延が少なくなっている。まったく遅延なしということはなく、ほんの少しは遅れているのだが、「コマンドを選んで、音を聞いて、またコマンドを選んで、音を聞いて」と、ひとつひとつの行動ごとに遅れているか確認しない限り気にならない。

実際にプレイする際には、慣れれば慣れるほど次の行動選択が早くなる(周回など)。タップすることでキャラクターが喋る「コマンドカード」も、ぱぱぱっとスピーディに選択したら一部のセリフが聞こえなくなってしまったりして、遅れているのかどうかそもそも判別しにくい。

けれど、もっと遅延が激しいモデルでは、そんな状態でもハッキリ遅れているので違和感が大きいのだ。旧AidPodsはそうしたモデルに対してすでに優秀であり、「遅延が特に気にならないレベル」を実現。新AirPodsは「遅延してるような、気もする・・・レベル」になっている。

わずかな遅延が致命傷、音ゲーでは?

さて、FGOではそれほどまでに遅延の影響をなくした新AidPodsだが、音ゲーに対してもそれだけの効果を発揮してくれるのか? アイドルリズムゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(デレステ)でフルコンボを目指してみた。

結論から言うと「音に合わせてフルコンは無理、でも遅延が減っているのは確定的に明らか」だ。

遅延の面ではまだ優秀な旧AirPodsでも、落ちてくるアイコンを目ではなく音を頼りにタイミングを合わせてタップしていくと、みるみるうちに体力が減っていく。つまり体力の減らない「NICE」どころか、「BAD」「MISS」を量産してしまうくらいズレている。視覚情報も合わせれば一応クリアは出来るが、つい音につられてコンボ数は30前後で止まってしまった。

新AirPodsではどうか。音につられても、コンボ数が90を超えるくらいまで続いた。「PERFECT」が「GREAT」になるかならないか、といった程度のズレに収まっている。

「LIVE設定」のタイミング調整を行うことで、新AirPodsではかなりスマホ直出しに近いプレイが可能になるが、タップした時の「シャン」音はズレてしまうことに変わりはない。何度かプレイをして、このズレを脳内補正する能力を身につければ、レベル20-24あたりならフルコンできる、そんな希望が持てた。なお、特技『コンセントレーション』発動時はまず無理である。

アイコンをタップしたときの「シャン、シャン」という音が、音楽とかなりズレているのが良くないモデル、そこそこズレているのが旧AirPods、少しズレているのが新AirPodsというイメージ。ただし、音楽に合わせて良いタイミングでリズムを取っていくのが音楽ゲームの醍醐味であることから考えると、たとえ頑張れば補正できたとしても、果たしてそれで良いのだろうかという疑問もある。

音ゲーにおいては、遅延が減ってプレイしやすくはなってきたが、楽しくゲームするにはまだ少し足りない、といったところだろうか。

☆ ☆ ☆


新AirPodsは、いま世にある完全ワイヤレスイヤホンのなかで、こと遅延という面では上位クラスのモデルといっていい。音ゲーのようなシビアなタイミングを要求されないゲームであれば、おそらくほとんどのタイトルで問題なくプレイ、もしくは慣れることができるだろう。

旧AirPodsから完全踏襲してしまったデザインの問題はあるが、一方で使い勝手は向上している。速攻レビューの通り、音質・音量もアップしており、ゲームでも迫力が増して聞こえる印象だ。ゲームを主軸にイヤホン購入を考える場合、新AirPodsは有力候補としてリストに加えておくべきだ。

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