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4312シリーズの最新モデル

JBLの新定番スピーカー「4312G」レビュー。モニター的だが懐も深い、限定機と最新機の「良いとこ取り」

公開日 2018/12/26 08:08 生形三郎
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JBLからコントロールモニター4312シリーズの最新機種となる「4312G」が登場した。

2016年に発売された70周年限定モデル「4312SE」は、新ウーファーの搭載やネットワークの本格的な3ウェイ化などによって従来の4312シリーズからの大幅なクオリティ刷新が話題を呼んだが、今回の4312Gは、それを引き継ぎながら同社の新スピーカー「L100 CLASSIC」の技術要素を移植した、新たな4312のレギュラーモデルとなっている。早速その詳細に迫っていきたい。

「4312G」(120,000円/1本・税抜)

JBLの遺伝子を色濃く引き継いだ4312シリーズ最新モデル

4312シリーズは、1982年に登場した同社の人気シリーズの一つで、70年代初頭に登場したプロ用モニタースピーカー「4310」を祖とするモデル。登場以後、実に30年以上マイナーチェンジを繰り返し、手ごろな価格とサイズで本格的なJBLサウンドを体験できる言わずと知れたベストセラーモデルだ。

その4312が、2016年にJBL創立70周年を記念して発売したのが4312SEで、上位モデル「4429」で使われる30cmウーファーをホワイトコーン仕様とした専用ユニット「1200FE-8W」を搭載するとともに、それまでフルレンジ駆動していたウーファーを640Hzでロールオフさせる本格的な3ウェイ化が実現され、大幅にサウンドクオリティが刷新された。

JBL創立70周年記念モデル「4312SE」

その流れを引き継ぐとともに、さらに先般発売されたL100 CLASSICスピーカーの開発で得られた技術要素を投入して、新たなレギュラーモデルとして登場したのが本機4312Gである。

「L100 CLASSIC」

4312SEと本機の仕様を見比べると、分りやすいところでは、ウーファーユニットとミッドユニット、そしてパッシブネットワークに使われている素子などがレギュラー用に新開発された模様。JBLを取り扱うハーマンインターナショナルによると、「記念モデル(限定モデル)」という位置だった4312SEのその充実した内容をできるだけクオリティを落とさずに実現し、通常ラインアップとしたのが今回の4312Gであるそうだ。

ちなみに、4312SEに対して本機4312Gは、一本当たりの値段が定価ベースで1万円ほど安くなっている。これは、主にスピーカー生産ルートの最適化や、USやアジア以外にヨーロッパでも人気が上がったことによって、クオリティを下げずにコストダウンに成功したものだという。

ということで、始めに改めて4312G自体の魅力を見てみよう。何と言っても、本機の魅力はまずは30cmの大型ウーファーを搭載していることにある。最近では少数派となっているが、やはり大型ウーファーから放射される低域を身体で受け止める心地よさ、そして大型ウーファーならではの余裕のある快適な低域再生が味わえるのが醍醐味だ。

30cm径のピュアパルプコーン・ウーファーを搭載

さらに、先述した4312SEで進化した本格的な3ウェイ化によって、その低音に一層の磨きがかかった。つまり、ウーファーの受け持ち帯域を640Hzでクロスオーバーし、より低音域だけに特化させたわけだが、これはミッドやハイとの音被りを抑えて、音響の解像度が向上する点が大きい。これまで受け継がれてきたJBLならではの快活なサウンドが、より広範なジャンルに対応できる対応力を身につけたと言える。後のレポートでも述べるが、ジャズやロック、ポップスはもちろんのこと、クラシックも充分に楽しめる懐の広さを持っているのだ。

そして、上位シリーズと同等の性能を誇るそのウーファー自体のクオリティも見逃せないポイントだ。30cmウーファーユニットは写真を見る限りでも、実に剛強なフレームが搭載されていることが分かる。この価格のスピーカーに搭載されるユニットとしては贅沢な仕様だろう。実際にこのクラスのユニットを単体で購入しようとすれば、それこそユニット代だけで相当な値段になりそうである。

ユニットそのもののクオリティが高い

さらに、後述するが、ユニットの音量バランスを本体前面に搭載された2つのアッテネーターで調整できることも、再生環境に沿った快適な音を得られる大きな秘訣である。前置きが長くなったが、早速試聴してみたい。

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