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画期的なケーブル音質改善技術

ティグロンのオーディオケーブルが新技術「HSE」導入で全面刷新。その進化を体験する

2018/08/29 柴阜・角田郁雄
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ウエスタンエレクトリック社がアンプの内部配線に用いていたディップフォーミング無酸素銅を復刻。さらにマグネシウムを駆使した高度なシールド効果で、完成の域に達したと思われていたティグロンのケーブルがさらなる進化を遂げた。ポイントは海外製の音質改善装置HSEを導入した点。これにより同社のケーブルの全ラインアップがHSE化を実現させている。HSE効果はいかなるものなのか? 柴崎功氏と角田郁雄氏が体験している。


TIGLON「HSEシリーズ」ラインナップ
※同社のほぼ全ケーブルがHESに対応

・電源ケーブル
TCA-1.2W-HSE」¥210,000/1.2m(公式ページ
MS-DF12A-HSE」¥49,000/1.2m(公式ページ

・BNCデジタルケーブル
MGL-DB10-HSE」¥55,000/1m(公式ページ

・スピーカーケーブル
MSS-DF100SP-HSE」¥120,000/1.5mペア(公式ページ
MS-DF12SP-HSE」¥8,000/1m(公式ページ

・RCAインターコネクトケーブル
MGL-R10-HSE」¥86,000/1mペア(公式ページ
MS-DF12R-HSE」¥40,000/1mペア(公式ページ

・XLRインターコネクトケーブル
MGL-X10-HSE」¥86,000/1mペア(公式ページ
MS-DF12X-HSE」¥40,000/1mペア(公式ページ

(取り扱い:ティグロン株式会社)

最適な電流をプログラム 導体を活性化する処理

海外の大手ケーブルメーカーとコラボレーションし、ハイパー・サチュレーテッド・エナジャイザー(略称HSE)と称する画期的なケーブル音質改善装置を開発し、これを日本でいち早く導入したティグロンから、既存ケーブルにHSE処理を施したHSEシリーズが発売された。型名は既存型名の後にハイフンとHSEが追加されている。価格はRCA、XLR、デジタルケーブル、フォノケーブル、LANケーブルが既存価格より8,000円、電源ケーブルは1万円アップ、切り売りスピーカーケーブルは3,000円/m、最高峰スピーカーケーブル「MSS-DF100SP-HSE」は25,000円アップとなっている。

HSEというネーミングから、ケーブル導体を電流飽和させて活性化する処理と推測できるが、ケーブルごとに最適な電流をプログラミングしているという情報のみで、詳細は現時点で非公開だ。試聴はXLRケーブルMS-DF12X、RCAケーブルMS-DF12R、電源ケーブルMGL-DFA10の同一ロットケーブルで無処理品とHSE処理品の比較を行った。どのケーブルも音質変化は同一で、見た目は全く同じなのにこれが同一ロットのケーブルかと耳を疑いたくなるほど劇的に音質が改善された。

透明感と極上の質感 耳を疑うほどの効果

HSE処理したケーブルは透明感が向上し、癖のない自然な質感になり、音量を上げても耳障りにならない。そして時間軸分解能が向上し、振幅軸の階調が増えて音の粒立ちや抑揚表現力が増し、音場空間が非常に生々しくなる。また、瞬発力や制動力が強化されるので演奏も歌もエネルギッシュになり、開放的で伸び伸びした音になる。物理的にはケーブルが柔らかくなるのが特徴だ。

これらの結果から、導体を電流飽和させて活性化することにより、歪みや色付けの発生要因となる結晶粒界の酸化物が熱分解して消滅し、結晶どうしが直結して単結晶に近づく効果や、HSE処理時の発熱による膨張と終了後の収縮により、ケーブル内の機械的ストレスが減少する効果があるのではないかと私は推測する。これだけ顕著な音質改善効果なら倍の価格にしてもおかしくないが、8,000円とか1万円の値上げに抑えたティグロンの良心には感服する。HSE処理の導入は、ケーブル界の大革命と言っても過言ではないだろう。

(柴崎功)


HESシリーズを体験する
導体の不純物も取り除き 解像度や微細な余韻が増大

私は、ティグロンのスピーカーケーブル「MSS-DF100SP」と電源ケーブル「MGL-DFA10」を新しいアンプシステムで使っている。その理由は、澄み切った空間にリアルに奏者、歌い手が描写するという、私の再生の理想に貢献してくれるからだ。音の透明度が高く、音像が浮き上がり、演奏のリアリティや聴感上のS/N、ダイナミックレンジが拡張されたかのような感覚となる。そのケーブルにHSE処理が行われることになった。


角田郁雄氏が比較試聴したHES仕様の電源ケーブル「MGL-DFA10-HSE」¥87,000(1.2m)

ケーブルにはHES(HyperSaturated Energizer)の収縮チューブが装着される
これは、単なるバーン・イン処理ではなく、導体の不純物まで取り除く効果もあるそうだ。今回は電源ケーブル「MGL-DFA10-HSE」をプリアンプとパワーアンプに試したが、聴感上の解像度とS/Nが明らかに向上し、倍音(響き)の微細な余韻が増した。この微細な情報こそが解像度の高さであり、音楽の臨場感を引き立ててくれる。持ち味である澄み切った音/空間描写性/音の立ち上がりの速さにも、磨きがかけられたことも実感した。まさにスタジオ・クオリティとも言える仕様で、私は導入する予定だ。これからの同社の展開も楽しみだ。

(角田郁雄)

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