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“全ch Hi-Fiクオリティ”を掲げるAVアンプ

マランツ「SR8012」の7.1chアナログ入力を、OPPO「UDP-205」と組み合わせて検証

2017/12/23 大橋伸太郎
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アナログマルチch入力を搭載した現代では希有なAVアンプ

マランツの一体型AVアンプの最上位となる「SR8012」について、前回は従来のトップエンド「SR7010」との比較を軸にレビューを行った(前回記事)。

「SR8012」¥370,000(税抜)

今回はこのSR8012について、さらに踏み込んだ試聴を試みたい。前回でソース機器として使用したOPPO「UDP-205」(関連ニュース)のアナログマルチチャンネル出力を本機に接続して、HDMI入力の音質と比較を行った。

SR8012とUDP-205がそれぞれ、7.1chアナログ入力/出力を装備しているからこの聴き方が可能になる。特に最近のAVアンプでアナログ入力端子を備える製品は少なくなっており、SR8012は貴重な存在である。

OPPO「UDP-205」は、ESS TechnologyのフラグシップDAC「ES9038 PRO」を2基搭載しており、うち1基が7.1chアナログ出力のD/A変換を担当する。マルチチャンネル出力を搭載したディスクプレーヤーが現在では希有な存在であることに加え、ES9038PROのサウンドをマルチチャンネルで聴けるとあって、UDP-205を導入したユーザーの中には7.1chアナログ出力を目当てにしていた方も少なくないだろう。

OPPO「UDP-205」


SR8012とUDP-205のアナログ入力/出力を組み合わせる

SR8012において7.1chアナログ入力された信号は、A/D変換やDSPでの処理は行われず、アナログ信号のままパワーアンプ部へと入力される。7.1chアナログ入力の場合には、SR8012はアナログ・サラウンドアンプとしての役割を果たしているということになる。全チャンネルにおいてHi-Fiクオリティを実現することを掲げて開発されたSR8012だからこそ、この7.1chアナログ入力の音質には期待するものがある。

ちなみに、ほとんどのユーザーがメインはHDMI入力を使うことになるだろうが、SR8012はHDMI入力と7.1chアナログch入力をリモコンのボタンひとつで簡単に切り替えることができる。両方の入力を繋いだままにして、切り替えて音質を確認したり、ソースによって入力を使い分けたりすることも容易に行える。




HDMIの音質と比較しながら、7.1chアナログ入力の音質を検証する

試聴は、前回に引き続き音元出版の視聴室で行った。7.1chアナログ入力を用いる場合はオブジェクトオーディオ対応していないので、チャンネルベースのソフトを用い、スピーカーシステムにはエラック「240BEシリーズ」による7.1chシステムを使用。アナログ音声ケーブルにはサエク製ケーブルを用いた。

まず、SACDマルチチャンネル音楽ソースから聴いた。誰もが認める定番、ピンク・フロイド『狂気』(5.1ch)をHDMIとアナログで比較した。HDMIの再生はDSDダイレクトモードを選択。ロジャー・ウォーターズのベースの音量が大きく野太く逞しい。セパレーションに優れクロストークが少ない。フロントセクションに重点を置いた演出感の少ない自然なサラウンドだ。つながりがよく前後の断絶がなく自然な包囲感がある。

アナログ・マルチチャンネル入力に切り替えてみると、帯域が広くなったことに気付く。チャンネル間の音場内の空気が入れ替わったような、ダイレクトでソリッドな音質だ。音場が解れていることが最大の魅力。HDMIに比べ鮮度で勝り、視聴室の壁が遠のいて広くなったような、奥行き感のある彫りの深い音場だ。

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