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【特別企画】臨場感豊かな“パーソナルコンサートホール”の実現

空気感までリアルに再現。クロスゾーンの“頭外定位”ヘッドホン「CZ-1」でクラシックBDを味わい尽くす

2017/12/13 山之内 正
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独自の技術でヘッドホンにおける『頭内定位』の問題を解決し、スピーカーで聴くような音場を実現するという、CROSSZONE(クロスゾーン)の“頭外定位”ヘッドホン「CZ-1」は、音楽BDの視聴に活用することでライブステージを間近で見るような臨場感が得ることができる。このCZ-1を用いた“パーソナルコンサートホール”体験の魅力を2回にわたりお伝えしていく本企画、第2回目の本稿では、山之内 正氏がクラシックのコンサート映像が収録された話題のBDを視聴。CZ-1の実力をレビューする。

クラシックのコンサートBD視聴で“パーソナルコンサートホール”体験

頭内定位の解消に本格的に取り組んだヘッドホン

夜が長いこれからの時期、部屋でじっくり音楽を楽しむには一番良い季節を迎える。だが、夜中でも思い通りの音量で楽しめるという人はそう多くはないはず。ほとんどの音楽ファンは、家族や近隣を気にしながら控えめな音量で聴くか、または諦めるかという「悲しい」選択を強いられているのではないだろうか。

そんな不満を解消してくれる方法の一つが“ヘッドホンリスニング”なのだが、頭の中に音像が定位してしまう不自然さが気になり、どうしても馴染めないという声も根強い。特にオペラやヴァイオリン独奏など、重要な旋律や楽器が左右中央に定位する録音ではそれが顕著で、思わずスピーカーの自然な音場に戻したくなることもある。

だが、頭内定位に馴染みにくいという課題があるとはいえ、それでヘッドホンリスニングを諦めてしまうのも惜しい気がする。細部を鮮明に描写し、音が消え入る瞬間まで余韻を聴き取れるなど、大音量再生以外にもヘッドホン再生ならではの長所がたくさんあるからだ。ダイナミックレンジの大きなクラシック音楽でこそ、ヘッドホン再生の長所が活きると言ってもいいだろう。

クロスゾーン「CZ-1」250,000円(税抜)

そこで注目したいのが、クロスゾーンの「CZ-1」である。頭内定位の解消に本格的に取り組んだ話題作で、自然な音場を重視するリスナーの間で着実な支持が広がっている。定位を改善する方法は、スピーカー再生時と同様、反対側のチャンネルから耳に届く成分、そして部屋の壁などで反射された間接音成分の両方をハウジング内で直接音と重ね合わせ、立体感を引き出すというもの。

どちらも音響的なアプローチで到達時間と音色をコントロールするため、電気的な処理に比べて違和感の少ない効果を発揮する長所があり、ステレオ再生本来の音色を確保したまま音像の重心が頭内から頭外へ自然に移動して、スピーカー再生のような前後に立体的な音場を生成することが出来るとされる。

【右画像内:左図】通常のヘッドホンでは頭内定位が不可避となるが、CZ-1は独自技術によってヘッドホンでの頭外定位を実現させた 【右画像内:右図】スピーカーリスニングでは、例えば右耳は右chのスピーカーの音だけでなく、左chのスピーカーが発した音や反射音を聴くことで音場や音像が形成される。CZ-1では一方のchにもう片方のchの音声信号をブレンドすることで、スピーカーリスニングのような頭外への音場形成を実現する

特徴的な三角形のハウジングは、主音源と逆チャンネルそれぞれを受け持つ3つのユニットを最適な関係で配置するために工夫したもので、三角形の頂点ができるだけ前方にくるように装着することがポイントだ。それ以外は特別な調整などは一切不要で、使い勝手の良さは普通の密閉型ヘッドホンと変わることがない。


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