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本国の担当者が各技術を徹底解説

【イベントレポ】クアルコム「DDFA/aptX HD」体験会 ー Hi-Fiからワイヤレスまでその技術と音を知る

公開日 2017/12/08 12:18 編集部:小澤貴信
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「Qualcomm DDFA」と「Qualcomm aptX」を体験するイベントが開催

クアルコムは、通信技術や半導体の領域で世界有数の技術力と事業規模を誇る巨大企業である。例えば同社が手がけるモバイルデバイス向けのSoC(CPUやGPU、DSP、無線などを統合した集積回路)である「Qualcomm Snapdragon」は、膨大な数のスマートフォンに採用されている。

現代のエレクトロニクスの最前線にいるクアルコムは、オーディオ領域でも様々な先進技術を擁している。その代表的なものが、Bluetoothの高音質伝送を実現するコーデック「aptX/aptX HD」だ。aptXはBluetoothの普及を背景にして、多くのスマートフォンに採用されている。ワイヤレスオーディオがますます一般的になる中、aptXの重要性と注目度はますます増している。



そして、同社のオーディオ技術のなかで、当サイトの読者(特にHi-Fiオーディオファンの方々)におなじみなのが、デジタルアンプ技術「DDFA」だ。デジタル領域で行う独自のフィードバック処理を特徴としたこの先進的なデジタルアンプは、デノン「PMA-50」「PMA-60」をはじめとするHi-Fiオーディオ製品に採用され、価格とサイズからは想像がつかない音質でオーディオファンを驚かせた。

アコースティックラボのショールーム「蔵前Village」でイベントは開催された

このようにクアルコムは、ワイヤレスオーディオというゼネラルなオーディオ領域と、より趣味性の高いHi-Fiオーディオの領域で、いずれも高い注目を集める技術を持っているのだ。

最新世代DDFAを搭載したデノン「PMA-60」(右)とDDFA評価ボード搭載デモ機(左)を比較試聴

今回、オーディオファンの多い当サイト読者に向けて、クアルコムのオーディオ技術「DDFA」と「aptX」を紹介するイベントを開催した。その詳細を本記事ではお伝えしていきたい。

音の良い部屋でDDFAのサウンドを体感する

今回のイベントの会場となったのは、オーディオルームの施工で知られるアコースティックラボ社のショールーム「蔵前Village」だ。複数の試聴室を備えるこのショールームには、音にこだわり抜いたオーディオルームが用意されていて、定期的に様々なテーマを設けた試聴会なども開催。多くのファンを集めている。今回のテーマは「DDFA」と「aptX」であるが、特にDDFAについては、この音の良い部屋でその音質をとことん体感できるというわけだ。

蔵前Villageのメイン試聴ルーム。オーディオイベントも定期的に開催されており、アコースティックラボの音作りへのこだわりを体感できる

冒頭ではアコースティックラボの代表である鈴木氏が挨拶。オーディオを聴く際には「部屋の音も聴いている」とコメント。最新のオーディオ技術の音と共に、同社が手がける視聴ルームのサウンドにも耳を傾けて欲しいと述べた。

アコースティックラボの鈴木泰之社長が冒頭で挨拶

イベントのナビゲーターを務めたのはオーディオ・ビジュアル評論家の鴻池賢三氏。オーディオ・ビジュアルアワード「VGP」の審査員も務めている同氏が解説を加えつつ、イベントは進行した。

先進的なデジタルアンプデバイス「Qualcomm DDFA」の特徴を改めて紹介

イベントはDDFAの紹介から開始。クアルコムのDamien Vandenbeyvanghe氏がDDFAの詳細について改めて説明を行った。

クアルコムのDamien Vandenbeyvanghe氏がDDFAについてプレゼンを実施

DDFAの詳しい解説について、今回講師を務めた鴻池氏がVandenbeyvanghe氏にインタビューを行ったこちらの記事と重複するので、ここではポイントのみを紹介していこう。

DDFAとはDirect Digital Feedback Amplifierの略で、その名の通り独自のフィードバック(帰還)回路を特徴としたクラスD方式のデジタルアンプだ。DDFAはデジタル領域でクローズド・ループによる高精度なフィードバックを行うことで、その高音質を実現している。

Vandenbeyvanghe氏はこの先進的なクラスDアンプについて「クラスAやクラスABのアンプと同等以上の音質を備えつつ、消費電力やスペースファクターの問題を解決したことが大きな特徴」と説明した。

ナビゲーターを務めた鴻池賢三氏

同氏は従来のデジタルアンプに対するDDFAの優位性を具体的に挙げていった。直接のデジタル入力に対応したフルデジタル処理に対応した点は、D/A変換やA/D変換を繰り返すことによる音質劣化を回避できる。一般的なクラスDアンプと異なり、PWM幅変調された出力波形からオーディオ成分を抽出するローパスフィルターの特性を補正することも可能となる。

独自のフィードバック回路は、差分をデジタルデータとしてフィードバックするため、一般的なフィードバック技術で問題となるサチュレーション(入力の飽和)の問題を回避できる。結果としてその効果を高め、S/Nを大幅に向上させることが可能となっている。

DDFAの回路構成。独自のフィードバックに加え、フィードバック回路へ入力する際の高精度なADC、電源の安定化など様々な技術が集約されている

デジタル処理に影響を与える電源を常に監視することで、それに応じてPWM幅変調の処理を随時補正できることも、その高音質の一端を担っているという。

次ページ第二世代DDFAのさらなる進化とは?

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