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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(37)

ラズパイ・オーディオのノイズ対策&S/N改善には、金属ケースとUSBブートが効果的

2017/11/01 海上 忍
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冒頭から恐縮だが、11月3日・4日の2日間にわたって中野サンプラザで開催される『秋のヘッドフォン祭 2017』のバリュートレード社ブースにて、オーディオグレードアルミケース「AVIOT CASE 01」と、近日発売のDACボード「AVIOT DAC 01(最終試作品)」の展示を行う。自慢の3.5mmアンバランス/2.5mmバランス接続ヘッドホンを持参の上、ぜひ試聴していただきたい。自前の音源も楽しんでいただけるが、その際ストレージはmicro SDカードでお願いしたい。その理由は以下に説明する。

USB周りのノイズをどうするか

“何を変えても音が変わる”ことがオーディオの楽しさだとはよく言われるが、それはラズパイ・オーディオも同じだ。USB DACやGPIO接続型拡張ボードを入れ替えればもちろんのこと、電源用のUSB micro-Bケーブルを変えても、出力の大きいバッテリーに変えても音は変わる。

DA変換や増幅処理を行うUSB DAC、拡張ボードの入れ替えで音が激変することは当然として、注目したいのは後段の部分。コンポーネントオーディオ同様、電源やアクセサリー類によっても音は変わるのだ。中でも効果が大きいのは「ケース」で、樹脂製から金属製に変えると音の印象は一変する。

またまたそんな…と言うことなかれ。金属製ケースの効果は、誰でもすぐに聴感できるレベルで現れるのだ。その原因は、Rapberry Piが発する「ノイズ」にある。現行のRaspberry Pi 3 Model Bのノイズ源は、オーディオに影響しうるものでいえば、Wi-Fi/Bluetoothチップ、USBチップ、SoCを挙げることができるだろう。

楽曲の保存場所としてUSBメモリは扱いやすいが……

Wi-Fi/Bluetoothチップは誘導電源ノイズを生み出す。特にヘッドホンアンプなど増幅回路を持つDACボードの場合、オペアンプなどノイズを拾いやすいパーツがあるために影響を受けやすく、全く対策しない状態で(ケースなし/DACボード剥き出し)音を聴くと、ネットワークトラフィックの発生に応じてノイズを感じることもあるほどだ。

USB周りも悩ましい。前回Tinker Boardと比較した時に触れたが、Raspberry PiはEthenetとUSBがバスを共有しているため、オンボードのWi-Fi/Bluetoothを無効化したとしても、有線LANネットワークのトラフィックはUSB/Ethernet統合チップ(LAN9514)を経由することになる。MPDを軸とした再生システムに依存するラズパイ・オーディオの場合、ネットワーク接続なしに使うことは難しいからだ。

起動ディスクはmicro SDだけじゃない!

筆者の経験からいうと、USB周りのノイズ対策には“手動トラフィック分離”が効果的だ。USBとEthernetがバスを共有するという事実を踏まえた上で、音源データ/オーディオ信号とEthernetのトラフィックを同時発生させない使い方を心掛ける、という意味だ。

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