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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第195回】イヤモニ界の秘境「くみたてLab」に潜入取材!独自の“くみたてらしさ”の源を探る

公開日 2017/08/18 10:00 高橋 敦
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伊藤氏「2つのBAドライバーを合わせて1ユニット化してある既存の中低域用デュアルドライバーユニットを、『低域1+中域1』に振り分けて使ってます」

 ーー なぜそのようなことを?

伊藤氏「帯域分割を4ウェイにまで増やすことでフラットバランスや繊細な高域を得つつ、でもドライバーユニットの数としては3ウェイのままなので、組み込みやすいんです。製作コストの削減です」

完全趣味の低域押しなMETEOと、これぞ低音!なCORONA

●KL-METEO 基本価格9万0000円
 ・ドライバー構成
  Mid High /2 BA Driver
  Low /2 BA Driver
 ・共にデュアルBAドライバー


 ーー SIRIUSがベーシックなフラットチューニングということは、他の2モデルはもう少し個性を持たせたモデル?

伊藤氏「KL-METEOは完全に僕の趣味の低域を出しています。低域側のデュアルBAドライバーにベントホール付きタイプを採用し、その低域の量感を最大限に活かす設計です。ですがネットワーク回路等で調整して『低音ドカン!だがボーカルの帯域はマスクしない!』というチューニングにしてあるので安心してください」

 ーー 何が安心なのかはさておき、さきほども話に出たローパスフィルターの設定を変えているということか?

伊藤氏「ローパスフィルター回路の基本設計はシリーズ全モデル共通で、組み込むパーツの値をそれぞれに合わせて調整しています。METEOは出す方向、SIRIUSはフラットに近くなるように、CORONAは他のモデルよりも上の帯域まで引っ張って持ち上げるセッティングです」

●KL-CORONA 基本価格7万0000円
 ・ドライバー構成
  High /1 BA Driver
  Mid /1 BA Driver
  Low /1 BA Driver
 ・中低域はデュアルBAドライバーを単発利用


 ーー CORONAは50Hz以下の「響き」「空気感」の帯域だけではなくその上、ベースやドラムスなど低音楽器の音自体の「太さ」「厚み」として感じられる低域まで持ち上げてあると。

伊藤氏「ローパスフィルターが作用する帯域の上側を200Hz近くまで引っ張ってます。そこまでの帯域を少し強調しているわけです」

そして“くみたてらしさ”とは……

 ーー NEXT5シリーズのポイントは他にも何か?

伊藤氏「SIRIUSとCORONAにはバックベント付BAドライバーを使っていないので、筐体の『樹脂充填』をオプションとして選べるようにしました」

オプションで出来る筐体の『樹脂充填』

見よ!この水中のような輝き!水中、それは苦しい!

 ーー そういえばくみたてLabは装飾的な要素にも積極的なメーカーだ。

伊藤氏「当時としては後発だったので他との差別化も必要でしたし、単純にその方がユーザーさんも喜んでくれる、楽しんでくれますよね」

 ーー シェルやフェイスプレートの基本的なカラバリも豊富。

伊藤氏「例えば僕が緑好きなので、そのバリエーションは特に多かったりします。アップルグリーン、ボトルグリーン、ライトグリーン、グリーン、ライムグリーン。ユーザーさんの要望に応えて試してみたカラーが我々としても好感触だった場合はそれをラインナップに取り入れたりもしていますよ」

カラバリや装飾も特色あるくみたてさん。作業台には発見したそれは…

美しいグリーンのイヤモニ。伊藤氏の手によってピッカピカに仕上げられていく

 ーー カスタムにおいては「螺鈿(らでん)」が特に印象的だったが……

伊藤氏「割り砕いた貝を組み合わせて模様を描き出す細工ですね。狙い通り話題になってくれたのですが……注文が殺到しすぎて、一時期は毎日毎日出勤から退勤まで貝を割る生活で、自分の仕事は何なのか自分は何者なのかを見失いかけました……今も限定的には受注しているのですが、やはりあまり数は作れません……無理です……無理なんです……貝が……貝が……」

 ーー ……わかった。いいんだ。お前はがんばった。もう何も言うな。だから最後にくみたてLabのラボ内の様子を写真撮影して今日は終わりにしよう。そしてゆっくり休もう。それがいい。

伊藤氏「……は!……そうですね。そうしましょう……」

こうして我々取材班は伊藤氏から十分な情報を聞き出し、そしてくみたてLab内部の撮影にも成功したのであった。

ケーブル製作の現場。4人のメンバーで日々開発に勤しんでおられます

最後は(いや最初からだが)笑顔で。立ち上げ初期のポスターを添えて

さて結局、「くみたてらしさ」「妙な存在感」の源、その正体は何だったのか。その断片はこの記事の端々にも浮かび上がっているかと思う。だがそれらは断片に過ぎない。それらをくみたて、その正体を見極める役割は読者の皆様にお任せしよう……。

試しに作ってみたという24ドライバー(!?)を詰め込んだ一作。くみたてらしさとは一体…

この詰め込み具合、部品の印字が見えるところがニクい!

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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