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藤岡誠のオーディオワンショット

歴史と実績が伴う真空管アンプメーカー、オーディオ・リサーチ。その新シリーズ「Foundation」を紹介

2017/08/16 編集部:小澤貴信
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同サイズでプリ/パワー/フォノイコ/DACを展開

「VT80」はステレオ・パワーアンプ。出力段はKT120のプッシュプルで、4本の出力管のそれぞれに独立したオートバイアス回路を持つ。出力は75W/ch(4Ω/8Ω)。ドライブ段は、双3極管の6H30を使用。初段〜位相反転はFETなどの半導体によるバランス伝送・増幅回路である。従って本機はハイブリッド構成だ。電源回路やオートバイアス回路は極めて充実。機能はON/OFF切換え付きオートシャットダウンがある。着脱可能なパンチングメタルの真空管カバーが付属する。入力端子はXLR(2番HOT)とRCA。

「VT80」

「LS28」はプリアンプ。入力はXLR×4、RCA×4。出力はXLR×2、RCA×2。初段のFET含めて増幅回路はフルバランス回路で出力段に双3極管6H30を左右チャンネルに2個ずつ使用したハイブリッド構成。トーンコントロール機能はないが、幾つかの機能はデジタル制御。電源回路は極めて充実。アナログ部とアナログ部の電源供給はトランスから独立させている。リモコンが付属。

「LS28」

「PH9」はMCカートリッジ対応・イコライザーアンプ。入力はRCA×2、出力もRCA×2。入力インピーダンスは47k/1k/500/200/100Ω切換え。RIAA偏差は±2.0dB(5Hz〜20kHz)。回路は初段やRIAA回路にはFETを採用。出力段に双3極管6H30を左右チャンネルで3本使用したハイブリッド構成である。

「PH9」

驚くべきは電源部。詳細は省くが双3極管6H30と電力増幅管6550を使用したレギュレーター回路を持ち、高純度なプレート電圧(DC210V)を供給。その上でアナログ系とデジタル系の電源供給は電源トランスから独立。とにかく、真空管方式、ハイブリッド方式を問わず大袈裟ではなく凝りに凝った電源回路の採用だ。リモコンが付属する。

「DAC9」は、RCA、BNC、TOS、XLR、そしてUSB(Bタイプ)の入力を装備。PCMは44.1〜348kHzに対応。すべてのPCM信号は内部で352.8kHzもしくは384kHzにアップサンプリング。DSDは2.82KHz〜5.6MHzに対応する。

「DAC9」

アナログオーディオ回路はハイブリッド構成だ。例によって出力段は2本の双3極管6H30が使用された無帰還回路である。出力端子はRCA×2、XLR×2を装備。本機もリモコン対応で、デジタル回路とオーディオ回路は独立したトランスとレギュレーターから電源供給され相互干渉を抑制している。

ここで新製品4機種をシンプルに紹介したが、ファウンデイションの意味を理解すれば、オーディオ・リサーチ社の本シリーズに対する新しい意欲を知ることになるはずだ。つまり、ハイブリッド回路方式の全面的採用はオーディオ・リサーチの新たなチャレンジといっていいだろう。

なお、LS28、PH9、DAC9の外形寸法がまったく同一で、何となく馴染み易い印象があるのも本シリーズの特徴の一つといえそうだ。

(藤岡誠)

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