ハイレゾからレコードまで再生できる驚異のコンパクト機

M2TECH「EVO PhonoDAC Two」を聴く ー 先鋭的かつ独創的なフォノイコ内蔵USB-DAC

岩井 喬

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2017年07月31日

澄み渡る高域の清々しい響き。プリ機能ではよりダイレクトに

では実際にそのサウンドを確かめてみよう。まずDACとしての基本的な傾向であるが、初めは単体DACとしてレファレンス環境のプリアンプ、アキュフェーズ「C-2820」に接続して確認を行った(パワーアンプ/アキュフェーズ「A-200」×2、スピーカー/TAD「TAD-E1」)。

まずCDリッピング音源であるが、オーケストラの管弦楽器の旋律はハリ良く滑らかで、ローエンドも適度に厚くしなやかにまとめる。ハーモニーの響きは華やいで艶良く展開。スリーピースのジャズにおいてもウッドベースのむっちりとした艶良い弦のたわみ感や胴鳴りの弾力感、ピアノのウォームで豊かな倍音の響きを分解能良く爽やかに表現してくれる。

EVO PhonoDAC Twoの使用例。フォノイコライザーやDAコンバーターなどの機能を搭載したモデルは数あれど、ADコンバーター機能までサポートしている機器はほとんどない。またプリアンプ機能を使うこともできるので、システムの構築は自在に可能だ

ロックにおけるディストーションギターも小気味よくざっくりとしたリフをリッチに響かせ、リズム隊の密度良いアタックも締まり良く描く。ヴォーカルについては肉づき良くナチュラルな傾向で、ボトムはふっくらとした厚みを持たせている。続いてハイレゾ音源ではより分解能が増し、オーケストラの旋律も粒立ち細かく、余韻の階調も流麗となり、すっきりと響きが収束。ローエンドはどっしりとした傾向であるが締まりも良く、艶良い高域方向の倍音のタッチとウォームかつ豊潤なホールトーンを存分に味わうことができる。

そしてDSD音源では、S/N感も高く、音場の広がりも十分で、クリアで澄み渡る高域の清々しい響きと、自然で締まり良い音像の安定ある描写性を実感。レートの高い音源になると分離感も増し、音像の有機的な肉づき感やウェットな艶やかさがより際立ってくる。

さらに本機のプリ機能の音を確認するべく、パワーアンプへ直結。こちらの方がより先鋭でダイレクトなサウンドとなり、すっきりしてヌケの良い鮮やかで華やいだ傾向となる。余韻もすっきりとダイレクトに感じられ、質感もスムーズで艶良くクリアに浮き立つ。

簡単にハイレゾ再生とレコード録音を両立できる

最後にフォノアンプとしての機能性を確認すべく、レコードプレーヤーを接続(ラックスマンPD-171A、カートリッジ/フェーズメーションPP-2000)。締まり良く爽やかで、個々の音の粒立ちが明瞭に感じられる。伸び良くストレートなサウンドだ。384kHzでアナログリッピングも行ってみたが、再生用PCに録音用ソフトウェアを用意すれば良いので、再生環境と同一の接続で簡単にハイレゾ再生とレコード録音を両立できる点が好ましい。システムもEVO PhonoDAC Twoという非常にコンパクトなハードウェアがひとつだけであり、仰々しいシステムを必要としないシンプルさもまた美点だ。

小さくとも機能性、音質共に妥協しないM2TECHだからこそ実現した本機の構成は、今後のデジタルオーディオが進むべきひとつの光明といえる道筋を指し示しているのではないだろうか。自在にハイレゾ音源を操るツールとしてEVO PhonoDAC Twoの持つ可能性に期待したい。

(岩井 喬)

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