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コンデンサー型に、新たな可能性もたらす「エナジャイザー」

iFI-Audio「Pro iESL」最速レポート ― これまで気づかなかったヘッドホンの新たな魅力にたどり着ける

公開日 2017/07/17 09:42 岩井 喬
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■トランスの癖を排除し理想的なステップアップ率を実現

一方、ピンストライプ・パーマロイ・コア・トランスは全帯域での歪を抑えることができるパーマロイとGOSS(方向性電磁鋼板)を組み合わせたハイブリッド仕様のコア材を採用。巻き線も共鳴や帯域ごとの癖を解消しつつ高いステップアップ率を得るため、水平・垂直方向へ複雑に極細の線をマルチセクションに巻き込んでいるという。

本機中央にマウントされた、iFIオリジナルのピンストライプ・パーマロイ・コア・トランス。本機のインピーダンスはこのトランスの二次側を切り換える仕組み

フロントパネルのインピーダンス切り換えはこのトランスの二次側タップを切り換えるために設けられており、16Ω、24Ω、64Ω、96Ωの4段階から選択が可能だ。通常は64Ω以上の高いインピーダンス設定にしておけばよい。音量が小さすぎる場合など、状況に応じインピーダンス値を小さくする。Pro iCANとの組み合わせの場合、64/96Ω設定で最大320V RMSまで、16/24Ω設定で最大640V RMSまでの出力を引き出すことができるという。

なおPro iCANとの連携の際はESL‐Link(専用ケーブルも同梱。端子形状はHDMIだが、専用設計となるため、ほかの機器・ケーブルは使用できない)接続を行うことで音声信号以外にPro iESL用の電源も供給できる。スピーカー入力には100W/8Ω以下の定格を持つプリメインアンプに対応。同時にスピーカー・スルー出力端子も用意されており、内蔵リレーによってヘッドホンとスピーカー出力の切り換えが行える。つまり本機をスピーカーリスニング環境に挿入したまま活用することができるのだ。

またヘッドホンアンプと接続するための4ピンXLRのバランス入力も備えられており、ヘッドホンアンプのヘッドホン出力より直結できるようになっている。最低でも64Ω接続時10V(約1500mW)の出力を持つヘッドホンアンプとの接続が推奨されており、最大で64Ω接続時28V(約12W)までの範囲に対応。

4ピンXLRバランス駆動出力を備えたヘッドホンアンプであれば、大体この仕様範囲内に収まると思われる。その場合は特殊な変換ケーブルを用意することなく4ピンXLRケーブル1本で接続できる点も面倒がないだろう。この場合、Pro iESLへの電源供給は付属されるiPowerを使えばよい。

キャパシティブ・バッテリー電源回路に用いているWIMA社製フィルムコンデンサーの他、ビシェイ社製MELF抵抗を導入するなど、パーツ単位へのこだわりも深い。入力切り換えには金メッキシルバーコンタクト小型リレーを採用するほか、スピーカー切り換えにはシールドシルバー・アロイ・コンタクト・リレーを取り入れている。

Pro iESLに用いられるパーツ類もこだわりのもの。抵抗にはビシェイ製のMELF抵抗を装備

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