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【特別企画】評論家・山之内正が一部始終をレポート

「ハイファイオーディオの理想に近づく新たな可能性」 ー 注目ヘッドホンサービス「WiZMUSIC」の魅力に迫る!

2017/07/14 山之内 正
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頭のなかで鳴ることに慣れてしまったリスナーは、ヘッドホン再生でリアルな音像定位を体験すると最初は違和感を感じてしまうかもしれないが、普段はスピーカーを中心に聴いている音楽ファンの立場としてどちらがより自然に感じるかと問われれば、やはり頭外定位を選ぶことは間違いない。

WiZMUSICを体験する山之内氏

EXOFIELDをオンにすると、定位の明瞭さだけでなく、声と他の楽器のセパレーションが向上する効果も実感できる。前方を中心にサウンドステージそのものが大きく広がるため、そのなかで各楽器の位置関係が明確になり、それぞれの音像の間のにじみが少なくなることが最大の理由だ。そうした効果はオーケストラでもある程度聴き取ることができたが、個々の楽器をオンマイクで収録したスタジオ録音の音源ではさらに効果がわかりやすい。

最後に聴いたリー・リトナー&ジェントル・ソウツ《キャプテン・カリブ〜ゲッタウェイ》はその顕著な例と言えるだろう。通常再生では音数が多い部分で一音一音の分離がやや甘くなるのだが、EXOFIELDをオンにすることによって、旋律とリズムそれぞれを受け持つ楽器の役割が鮮明になり、解像感が上がったように聴こえるのだ。特に旋律楽器がはっきりと前方に定位することによって、音場の見通しが良くなり、リズムの切れが鋭さを増す。

■「WiZMUSICは新たな可能性を秘めている」

今回の試聴で強い印象を受けたことが2つある。まずは頭外定位がもたらす自然な音楽体験。自然なサウンドステージを追求することはハイファイ再生の基本なので、それがヘッドホン再生でも実現することには大きな意味がある。

「HA-WM90」の質感を確認する山之内氏

もう一つ、リファレンス音場の音響特性を忠実にヘッドホン再生に反映させるEXOFIELDの技術的なポテンシャルの高さにも注目する必要がある。

今回、専用ヘッドホンで聴いた再生音は、最初に紹介したスタジオのEX Roomの再生音に音調がかなり近いと感じた。測定信号は耳の形状や頭部伝達関数を重点的に計測していると思われるので、そこから空間精度の高い再生音が得られるのは当然としても、ダイレクト感の強い音調や解像度の高さなど、EX Roomで鳴るMB2の再生音に近いサウンドを実現していることも非常に興味深い。

オーディオファンは部屋の音響特性も含めて音を追い込んでいるわけだが、現実にはなかなか狙った通りにはいかない。妥協のない音響チューニングを導入した部屋で測定を行うというWiZMUSICのアプローチは、ヘッドホン再生でハイファイオーディオの理想に近付くという、新たな可能性を秘めているのだ。

(特別企画 協力:JVCケンウッド)

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