HOME > レビュー > ラズパイ・オーディオの『ギャップレス再生』を考える。ネットワーク経由は「OpenHome」がカギ

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(31)

ラズパイ・オーディオの『ギャップレス再生』を考える。ネットワーク経由は「OpenHome」がカギ

2017/06/05 海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ラズパイ・オーディオで「ギャップレス再生」は当たり前

デジタルオーディオ/ファイル再生におけるギャップレス再生とは、あるサウンドファイルの終端と次に再生予定のサウンドファイルの始端の間(ギャップ)を感じさせることなく、途切れさせずに再生する機構のこと。この機能が用意されていなければ、クラシックの組曲やライブ音源など便宜上複数の曲に分かれてはいるが繋がっている曲を再生した時、曲間にあたる部分で音が途切れてしまう。

このギャップレス再生、結論からいうと「ハード、ソフト、音源次第」となる。ある機器ではWAVとFLACのみ、またある機器ではWAVとFLACに加えDSDも、などと機器/メーカーによって対応にバラつきがあることはご承知のとおり。音源もサウンドフォーマット/コーデックにとどまらず(サンプリング周波数と量子化ビット数、チャンネル数も統一されていることが求められる)、ローカル(HDD/SSD/USB)にあるのかネットワークにあるのかというロケーションの問題も含まれる。

翻って我らが「ラズパイ・オーディオ」はどうかというと、基本的にはギャップレス再生がデフォルトと考えていい。ただし、DSD再生はハードウェアに依存(ex. USB DAC)する上、ソフトウェアはラズパイ・オーディオで事実上標準の「MPD」に大きく左右される。あくまで2017年5月時点における比較的新しいシステム構成(OSはVolumioかMoode Audio)において、特別な設定なしにギャップレス再生を楽しめる、という意味だ。

Volumioのバージョン v2.175を例にすると、ローカルディスク(USBメモリやmicro SD)に保存された楽曲は一部を除き、ギャップレス再生に対応している。これは再生系の柱であるMPDがギャップレス再生をサポートするためだ。他のラズパイ・オーディオ用OSもMPDを採用しているため、基本的には同じと考えていい。

VolumioのWEB設定画面。ギャップレス再生に関する項目は無いが、オーディオバッファサイズを多めに確保した方が確実

ただし、無条件ですべての音源をギャップレス再生できるわけではない。どのフォーマット/コーデックがギャップレス再生の対象かをMPD側で公式にうたっていないため、実際にテストしてみるしかないが、CDから各種コーデックでリッピングしたPink Floyd「狂気」をUSBメモリに保存し、VolumioとMoode Audioの最新版で再生してみたところ、MP3とAAC(エンコーダはiTunes)はわずかに曲間があいてしまったが、FLAC/ALAC/WAV(エンコーダはXLD)のつながりはスムースそのもの、確かにギャップレス再生だ。

Moode AudioのWEB設定画面。「Gapless mp3 playback」という項目はあるが、WEBラジオの選局をスムーズに行うためのもの。今回のテーマとは狙いを異にす

システム設定も、インストール直後の状態で問題ない。ただし、オーディオバッファサイズ(メモリ上に貯える楽曲データのサイズ)は目安として4,096KB以上、後述するネットワーク再生を考慮すれば8,192KBは欲しいところ。ギャップレス再生に直結する要素ではないが、あわせて見直しておきたい。

次ページネットワーク再生の重要ポイントは「レンダラー」

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE