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開発者インタビューも収録

マランツ「HD-AMP1」を聴く。最上位「PM-10」と並行して開発したDAC内蔵アンプ

公開日 2017/04/18 10:38 角田郁雄
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ーー HD-AMP1もスイッチング電源はHypex製なのでしょうか。

尾形氏 スイッチング電源ですが、Hypex製のものではありません。HD-AMP1はPM-10ほどのパワーを必要としないので、Hypex製を選ぶ必然性はありません。HD-AMP1のグレードでは様々なソリューションがありますので、我々が使い慣れているものを選んでいます。

(株)ディーアンドエムホールディングス マランツ・サウンドマネージャー 尾形好宣氏

ーー HD-AMP1を開発する時点で、PM-10の全体像というのはすでにあったのでしょうか。

澤田氏 PM-10においては、旗艦アンプという位置付けやコンセプトから、スイッチングアンプとするならばHypexしかないと考えていました。一方でHD-AMP1は、当初はM-CR611の延長でコンパクトシステムとして開発していたこともあり、Hypexを採用するのは難しいと考えていました。しかし開発過程で音質を追求していった結果、マランツだからこそ可能なアンプにしようと考え、コストも度外視してHypexを採用することにしたのです。PM-10で使うことが決まっていたというのも、当然Hypexを選ぶ理由のひとつにはなりました。

ーー HD-AMP1の手応えが、PM-10に与えた影響というのはありましたでしょうか。

澤田氏 HD-AMP1で培ったスイッチングアンプのノウハウは、PM-10の開発にも活きました。ただ、先ほども申したとおりPM-10とはクラスがちがいますので、電源の規模やブロックコンデンサーを持っている点など、同じHypexでも使い方で異なる点は多いです。

ーー HD-AMP1では、ESS製DACをマランツ製品として初めて搭載したこともトピックかと思います。

澤田氏 限られたプランのなかで、様々なデバイスや手法を試していく必要があるので、ESSのDACに限らず、チャンスがあれば様々なものを試していきたいと考えています。その点でHypexについては、PM-10の前にHD-AMP1で試すことができたというのは大きかったと思います。

(株)ディーアンドエムホールディングス マランツ・ブランドアンバサダー 澤田龍一氏

ーー 今おっしゃられた「チャンスがあれば様々なデバイスや手法を試していく」ことをマランツが実践してきた結果として、クラスを超えた内容の製品をユーザーが享受できるのかなと思います。HD-AMP1でHypexのスイッチングアンプのサウンドが味わえるように、ということです。

尾形氏 その意味で、新世代のマランツの音を聴けるのは、PM-10以外ではHD-AMP1だと言えます。HD-AMP1はもともと横幅25cmのサイズで企画されていましたが、Hypexを積むことで横幅30cmのサイズになりました。それだけ音に対して真摯に取り組んだモデルであり、我々がPM-10の開発に3年半かけた道のりを一緒に走ってきたモデルでもあるのです。

そういう意味では、PM-10は手が届かないけれどもその音に感動したという方がいらっしゃれば、HD-AMP1でも新しいマランツのサウンドを感じていただけると思います。

ーー ありがとうございました。

(構成:編集部)

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