海上忍のラズパイ・オーディオ通信(27)

オーディオ再生に特化したラズパイ用ソフトウェア「Volumio」と「Moode audio」を比較する

海上 忍

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2017年04月04日
Raspberry Piは、基本的にmicroSDカードをブートディスクとしてシステムを起動する。耐久性は万全とは言い難いものの、圧縮を施した読み込み専用ファイルシステム「SquashFS」の採用や、動作に必要なコマンド/アプリケーション群をメモリ上に展開するなどの工夫により、かつてに比べ起動時以外のディスクアクセスは大幅に減少している(第12回を参照)。MPDやコーデックなど直接オーディオを再生するソフトウェアも重要だが、より低層のシステムソフトウェアも忘れてはならない。

オーディオ再生に特化したRaspberry Pi用Linuxディストリビューションはいくつかあるが、中でも「Volumio」と「Moode Audio」は代表格と言っていいだろう。どちらもRaspberry Pi財団公式ディストリビューション「Raspbian」をベースとしていることもあり、定期的にアップデート/メンテナンスされるという安心感がある。WEBサイトのフォーラムからは、ユーザーコミュニティの層の厚さも見てとれる。

他にも「RuneAudio」も高い支持を集めているが、こちらはArch LinuxがベースでRaspbian系とはパッケージ管理が異なり、開発はややスローペースだ。ここ1年アップデートが滞っている(最新ベータ版は2016年3月公開)ことからも、前2者ほどの熱度は期待できなそうだ。アップトゥーデートな機能を求めるのならば、VolumioかMoode Audioが妥当な選択となるだろう。

Raspberry Piをコアに据えたオーディオ規格を策定中の「ワンボード・オーディオ・コンソーシアム」(関連ニュース)では、既存のオーディオ特化型Linuxディストリビューションを動作対象システムとする方向で調整中だが、VolumioとMoode Audioはそこに含まれる可能性が高い。どちらかに慣れておけば、コンソーシアム準拠のハードウェアが登場してもスムーズに移行できることだろう。

Volumio 2のWeb UI。表示用の言語に日本語を選択できるなど、国際化対応されている

Moode Audio 3.1のWeb UI。UPnPをオン/オフできるなどカスタマイズ性の高さが特長だ

では、VolumioとMoode Audioのどちらを選ぶかと訊ねられれば、これがなかなか答えにくい。どちらもLinuxカーネルv4.4を核としたRaspbian Jessie Liteをベースとする上、オーディオ再生に直結するALSA(Advanced Linux Sound Architecture)のバージョンもほぼ同じであり、基礎部分では大差ないといえるが、「ユーザーインターフェイス」がだいぶ異なるからだ。

本連載でいうところのラズパイ・オーディオは、手のひらサイズで小回りが効くものの、ヘッドレス運用(ディスプレイやキーボード/マウスを接続せず、ネットワーク越しに操作・命令する活用スタイル)が前提であり、スマートフォン/タブレットやPCから操作指示することになる。ここでいうユーザーインターフェイスとは、すなわちアプリやブラウザの画面であり、それを通じて指示/設定できる機能のことだ。

Web UIや専用アプリなど、自分流に使いこなせる環境が重要

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