HOME > レビュー > エソテリックの妥協なきハイレゾ再生 ー ネットワークプレーヤー「N-05」&プリメイン「F-05」を聴く

注目のハイレゾ対応製品をチェック

エソテリックの妥協なきハイレゾ再生 ー ネットワークプレーヤー「N-05」&プリメイン「F-05」を聴く

公開日 2017/03/31 11:48 鈴木 裕
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
N-05を追加しハイレゾ再生のクオリティをチェック
まずはPCと接続して聴くと、情報量が多く豊かな表現力を確認


N-05はネットワークプレーヤー、つまりNAS等のミュージックサーバーと接続しての音楽再生機だ。ただしPCと接続したり、USBメモリやHDDを直接接続して聴くDAC機能も充実している。

その心臓部には、旭化成エレクトロニクス社「AK4490」を各チャンネル差動4回路で構成。このDACデバイス自体は32bitのものだが、34bitD/Aプロセッシング・アルゴリズムを採用して、さらに緻密な変換を目指している。

DACやアナログ回路は、同社の一体型SACDプレーヤー「K-05X」で高く評価された構成を踏襲。優れたチャンネルセパレーションを実現する

一方で、DACの安定化電源部にチャンネルあたり500,000μFのキャパシターを搭載した点や、バッファーアンプ部のハイカレント思想など、Grandiosoシリーズの技術を投入。大型のトロイダルトランスと大型コンデンサーを組み合わせた強力な電源部も、独立したストリーマー、DACとして高い基礎体力を持っている。

クロック回路はNDKと共同開発したVCXO(電圧制御型水晶発振器)を採用。大型の水晶を内蔵し、優れた中心精度(±0.5ppm 工場出荷時)を誇る。位相雑音も低減

試聴テストとして、まずPCと接続して聴いてみた。PCとF-05の間にN-05が入った形だ。この音は一聴して、まず情報量の多さを感じる。変換精度がさすがに高く、レゾリューションがぐっと上がっている。

細かい音数が見えてくるというだけでなく、音色の微細な描きわけや細部の質感、定位の前後方向の見せ方まで、高い表現力を持っている。DACだけでなく、電源部の充実からくる低音の押し出しの良さや、バッファーアンプ部の迸るような音の立ち上がりを感じるところだ。USBに対応したNASを接続音像の実在感の高さを体感した

続いてNASであり、N-05とルーターを入れずにUSBで接続できるfidataのミュージックサーバー「HFAS1-S10」を付加して聴いた。実に広い音場空間を持っていて、しかもその空間がまだらなくきれいに音で満たされている。

本体の操作キーは最小限に抑え、選曲操作等は基本的にネットワーク再生コントロール用のiPadアプリ「ESOTERIC SoundStream」で行う

左右のスピーカーの外側、天井方向にも伸びやかに空間が広がりつつ、そこに定位する音像の実在感の高さ。PCから再生するよりも音楽に近く、よりオンな感覚もまた魅力的だ。さらに情報量は多くなり、音の色彩感もリッチ。この音をリスニングシートに座ったまま、さまざまな音楽を選曲しながら楽しめるのだからネットワークプレーヤーはありがたい。

G-02のを付加し10MHzを付加、実に精緻で細かくほぐれたサウンド

最後に、N-05にマスタークロックジェネレーター「G-02」を付加して、10MHzのクロックをインプットしてみた。実に精緻で描き方が丁寧、細かくほぐれた音だ。

興味深いのはKensington/GRに付加したスーパートゥイーターの音量レベルを上げたかのように良く鳴っている点で、想像するに再生音のジッター成分が少なくなるほどに、波形の縦の線が合い、それがスーパートゥイーターの音圧を上げているように思った。これはオーディオ好きに聴いてもらいたい興味深い音だ。

F-05、N-05はどんなファンにお薦めできるか?

ネットワークプレーヤーや、PCとUSB-DACを使っての再生など、ホームオーディオにおけるハイレゾ再生もすでに10年程度の歴史を持つようになったが、そういった状況に満を持して投入してきたのがN-05だと感じた。エソテリックのクラス構成から考えると、この上に03や01、あるはいGrandiosoという存在も考えられなくはないが、N-05を聴くとストリーマーという方式の優位性がいよいよ本格的に開花してきたのを感じる。

そして、F-05のインテグレーテッドアンプとしての音の透明感や駆動力なども魅力。さらにハイレゾデータをPCとオプションのボードを使ってシンプルに楽しめる点など、多くの魅力を持っている。オーディオの概念がさらに多彩になっている昨今だが、F-05を中心としてまずPCからの再生を始め、その後に本格的なデジタルプレーヤー等を増設していくのも魅力的だと思った。

(鈴木 裕)


本記事はネットオーディオ24号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE