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新Contour最上位の3ウェイ・スピーカー

【レビュー】ディナウディオ「Contour 60」 ー 生音のような低域を再現する“新たな金字塔”

公開日 2017/03/22 10:00 井上千岳
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ついでにもうひとつ挙げておこう。ディナウディオの最大といってもいい特徴は、早くからボイスコイルにピュアアルミを使用してきたことだ。銅線に比べて軽量なため、同じ重量でも大口径化が可能になる。このためディナウディオのドライバー・ユニットは、精密で正確な特性を獲得することが可能だったのである。

このアルミ・ボイスコイルはどのユニットにも採用されて、ディナウディオのトレードマークのようになってきた。しかし今回は24W65という24cmウーファーだけアルミ/カッパーというボイスコイルを採用している。他のウーファーやミッドレンジはピュアアルミのままだが、これもおそらく新しい発想の反映なのだろう。この24cmウーファーは、Contour60にだけ搭載されている。

■Contoru 60を聴く ー ディナウディオの中でも最も進んだ低域再現

さてそれではそろそろ、そのContour60に移ることにしよう。シリーズ最大のサイズで唯一の3ウェイ。ダブルウーファーはパラレルで動作する。ボイスコイルや振動板については、既に記したとおりである。

「CONTOUR 60」 ¥1,300,000/ペア(税抜)

24cmウーファー2基ということは、振動板面積で言えば約34cmになる。試聴室のスペースには少し大きいかもしれないと思ったし、実際最初はそういう感じがした。低音が飽和してしまうような出方だが、しばらくするとそんなこともなくなった。制動が利いてきたということなのだろうが、以前だとこういうブレーキの利き方はしなかったように思う。止まるところがぴたりと止まる。単にスピードが速いだけでなく、反応自体が速いのである。

それのよくわかるのがジャズやオーケストラなのだが、始めはアンプの制動力が高いせいかとも思った。確かにそれもあるにはあるが、じっと聴いているとやはりそれだけではないのが明らかだ。

例えばオーケストラでは、コントラバスの鳴り方がいつもと違う。こんなところまで出たことがあっただろうかと思うのだ。いままでより一回り低いのかもしれない。それとも出方が違うので余計はっきり感じるのか。ともかく非常に低いところで、ずずっというような低音弦特有の音がする。それが実際の演奏で聴くのと、ほとんど同じ音だ。つまり生の音ということである。

Contur 60の背面。バスレフポートを2個、上下に配置している

これは単に低いところまでコーンが振動しているというだけのことではない。正確に動いてピタッと止まるからこそ、こういう明確な低音が聴こえるのである。アンプのせいだけではないというのは、そういう理由からだ。

よく見ると、ウーファーのエッジは以前より大分盛り上がっている。材質はラバーだが、高さが増しているわけである。この形状も今回のリニューアルで開発されたものだそうだが、こういうところも音質に大きく関係しているのがわかる。

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