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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(25)

【特別編】「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」設立。発案者・海上忍が語る趣旨と今後の活動

2017/02/28 海上 忍
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オーディオプラットフォームを“育てる”

ここから怒濤の展開が始まりました。プレゼン資料を作成し、これまでラズパイ・オーディオ関連で話をしたことがあるオーディオメーカーにアポイントを入れ、コンソーシアム設立の意義と新たに考案した「コンポーネント規格」のアイデアを披露する旅の始まりです。1月下旬から西へ東へ、1ヶ月かけて11社を回りました。連載など放置できない仕事をこなしつつですから、これが限界でした。

プレスリリースを出した2月28日時点での加盟表明企業は8社ですが、残り数社は引き続き検討いただいております。それに、私が開発チームの方と名刺交換程度の交流しかないというオーディオメーカーには、コンタクトをとれていません。この点については大変失礼しました…。もし興味を持っていただけるのでしたら、是非今からでもご連絡ください。

なにぶん“これから創る”話なだけに、実現の可能性について問われることもありましたが、オーディオ再生系としてはすでに運用されているですから、過剰な悲観論は無用だと考えています。品質保証(QA)の観点で現実的な意見もいただきましたが、この点はメーカーによって立場・考え方が異なります。QAはとても重要ですが、私の立場からとやかく言うことはできません。

コンポーネント規格のイメージ図(水色部分がオーディオメーカーの裁量に任せる領域)

コンソーシアムでは、これからいくつかのワーキンググループを設け、それぞれの仕様策定作業に入ります。ポータブル規格は、Raspberry Pi 2 Model B/3 Model BおよびHAT規格という既存のフォーマットを基礎としますから、落ち着くところに落ち着くと思いますが、問題はコンポーネント規格です。

コンポーネント規格では、Raspberry Pi 2 Model B/3 Model BではなくSO-DIMM形状の「Compute Module 3」を利用する予定です。新たに基板を起こす必要はありますが、必要な信号をSO-DIMMスロットから引き出せますから、USBやmicroSDなどI/Oのレイアウトの自由度は格段に高まります。方向性は異なりますが、NEC Display Solutions Europeが開発したデジタルサイネージ用ディスプレイシステム(詳細はこちら)が参考になるかもしれません。

なぜ「ラズパイ...」ではなくて「ワンボード...」なのか、ソフトウェアのサポートをどうするのか、音楽配信のOTOTOYがなぜ加盟しているのかなど、説明すべき事項はまだたくさんあります。今後順を追って取りあげていきますので、どうかご期待ください。興味を持っていただけること自体が、このオーディオプラットフォームを“育てる”ことになるのですから。

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