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コンパクトながら高い駆動力を実現

エラック初のプリメイン「EA101EQ-G」を聴く ー 先進的キャリブレーション機能の効果も検証

2017/02/24 岩井喬
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コンパクトアンプながら3ウェイを軽々と駆動。滑らかで濃密なタッチ

試聴には、Uni-Fi SLIMラインのフロア型3ウェイ「FS U5 SLIM」を用い、USB入力に繋いだMac book Proをソースとした。EA101EQ-G AppのAUTO BLEND補正を生かしたセッティングで再生してみたが、Uni-Fi同軸ユニットと3発の13.5cmアルミコーンウーファーからなるFS U5 SLIMも難なくドライブしている印象で、低域方向の制動感も十分だ。音像はふくよかかつ濃密なタッチで描き、安定感ある滑らかな音色としている。

フロアスタンディング型3ウェイ「FS U5 SLIM」と組み合わせて試聴した

オーケストラの旋律もしなやかで弾力に満ち、ハーモニーもほぐれ良くスムーズに響く。ジャズピアノのアタックはまろやかに感じられ、ウォームさも漂う落ち着いた表現である。ウッドベースやスネアの厚みやキレ味もバランス良く、有機的に音が融合してゆくイメージだ。

ボーカルの肉付きは良く、口元のハリも爽やかに引き出す。耳当たりが良くピーキーさを感じないスネアのアタック表現も好感が持てる。ロックにおいても、リズム隊が引き締まり適度にタイトなタッチで描く。エレキギターの質感も粘り良く存在感がある。

AUTO BLEND機能は中低域再現だけでなく、高域を含む描写力の向上にも貢献

ここで一旦、AUTO BLENDをOFFとしたサウンドも聴いてみた。エレキギターが開放的に鳴り響き、ドラムサウンドも奔放で雄大に感じられる一方、ボーカルをはじめとしてスネアドラムのアタック感などセンター定位のフォーカスが甘くなり、ボディの締まりも緩くなる。キックドラムやベースも柔らかくリリースが広がる印象だ。AUTO BLENDをオンにしたときと比較して、音場の見通しが狭く、平面的なサウンドとなってしまった。

EA101EQ-Gの試聴を行う岩井喬氏

つくづくAUTO BLENDの効果の高さを実感するに至ったが、補正をかけている中低域の聴こえ方が変わることは想定内であるものの、高域方向のアバレも抑えられ、金属系楽器の澄んだ描写性にも効果があり、余韻の階調性も一層高まっていくようだ。

改めてAUTO BLENDを有効にし、ハイレゾ音源を聴いてみた。オーケストラは滑らかなタッチで描かれ、音場は豊潤な響きに溢れる。解像感もナチュラルで音離れが良い。楽器はひとつひとつ密度良く丁寧に表現し、アタックもしっかりと立ち上がる。余韻の広がりも豊か且つ緻密で、実に落ち着き良いサウンドだ。

弦楽器の艶も、嫌味のないゴージャスさを持たせた流麗な描写として聴かせる。ボーカルはしっとりとして滑らか、ボディの密度も自然で余韻の切れ味も良い。女性の声の鮮やかな輪郭感もナチュラルにまとめ、とげとげしさがない質感としてまとめている。音場の空気感もシームレスに表現し、臨場感溢れるサウンドを楽しめた。

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