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【特別企画】アコースティックラボ主催「Acoustic Audio Forum」開催レポート

オーディオに最適な吸音はどれくらい? “音楽家のための防音会社”による試聴イベントを密着レポート!

公開日 2017/02/20 14:30 編集部:小野佳希
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鈴木氏は、メイン試聴室と第2スタジオの残響時間について「容積が大きいメイン試聴室のほうが残響時間も少し長めにしている」と解説。「この残響時間の違いは、主に低音域に現れる。一般的に音楽鑑賞用の部屋では低音域にいくにしたがって残響時間を長くするほうがよいとされている」と、部屋づくりのポイントを紹介する。

メイン試聴室と第2スタジオの響きの違いを測定結果グラフでも紹介

なお、現代建築で一般的になっている中空構造で作られた部屋は低音域を吸音しやすい点も説明。「部屋は素の状態でも意外と吸音しており、音楽における低音の豊かさを感じられる“美味しい帯域”を吸ってしまっているケースも多い」とし、「我々が施工した物件では、『機器は変わっていないのに、部屋を作り直しただけで何故こんなに楽にスピーカーが鳴るようになったのか』と言ってもらうことも多い」と言葉を続けた。

防音工事で低音の残響時間を長くすることで低域の響きが豊かに

なお、第2スタジオは録音スタジオを想定していることから、よりフラットな聴こえ方になるよう設計。「残響が短い部屋はモニター音を聞いて仕事するといったような、客観的な聴き方に向いてる。最近の録音は響きもデジタルで処理するため、響きのない部屋のほうが都合がいい」のだという。

そのほか、イベントでは吸音や残響時間に加えて、部屋の寸法比や剛性にも改めて言及。ブーミングが起こらない寸法比であったり、反射音が濁らないように壁や床、天井の剛性を高めることの重要性を説き、「いい音の部屋を作るには、寸法比、そして壁床天井ががっちりしてることが重要だ。その上で、吸音材で好みによって響きを調整するのだ」とした。

縦・横・天井高の比率で部屋としての音の善し悪しが決まってくる

なお、鈴木氏は「我々はまず響きが眺めの部屋を作っておく」とコメント。「デッドな部屋をライブに調整するよりも、ライブな部屋を吸音材で調整していくほうが簡単な手法だ」とし、「そうすれば、好みが変わったり機材が変わったりしても調整できる余地を残しておける」と、部屋づくりにおける同社の考え方を説明した。



なお、本イベントは来る3月4日(土)に次回が開催されることも決定している。次回のテーマは「残響時間とその周波数特性を考える」で、本記事でレポートした回に引き続き残響をテーマに扱う。

会場は同じく同社蔵前ショールーム(JR浅草橋駅より徒歩)で、13時開始の回と16時開始の回との2回を用意。公式サイトで詳細を確認できるほか、メールフォームから参加申し込みを受け付けている。

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