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アナログ部を大幅アップグレードを果たした”ブラック・レーベル”

高級機に匹敵する表現力 ー iFI-Audioの最新USB-DAC「micro iDSD BL」を聴く

2017/02/08 岩井 喬
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■S/Nが大幅に向上。臨場感あふれる立体的なサウンド

試聴にはMacBook Proを用い、再生用アプリケーションにはRoonを組み合わせてみた。micro iDSDと比較すると、ディテールの粗さがなくなり、全体的に艶良く滑らかな描写となっている。

圧倒的に違うのが音場のS/Nの良さだ。低域も制動の伴ったふくよかさを持ち、ピアノや弦楽器のハーモニクスもほのかな煌びやかさが加わる。micro iDSDはドライな傾向であったのに対し、BLは有機的で伸び良いサウンドとなっているようだ。

micro iDSD BL(左)と従来機の回路を比較すると、ひとめみて分かるレベルでの改良が施されていることが分かる。こうしたさまざまな変更が、micro iDSD BLの基本性能を大きく押し上げた

さらにfidataのオーディオ用NASと直結しての再生も試してみたが、肉づきを適度に持たせた落ち着きのあるナチュラルな音像と、奥行き深く展開する空間の広大な表現を実感。S/Nもより高く、ヴォーカルや楽器の輪郭はキレ良くシャープに際立たせつつもナチュラルな芯の太さも持ち合わせており耳当たりが良い。DSD 11.2MHz音源も流麗で音離れの良い、臨場感溢れる立体的なサウンドだ。

■空間表現、情報量、質感。いずれの項目も大きくグレードアップ

最後にヘッドホンアンプとしての性能のチェックとして、ゼンハイザー「HD800」とベイヤーダイナミック「T1 2nd Generation」を組み合わせて確認を行った。いずれもハイインピーダンス機ということもあり、パワー切り換えはTurboモードに設定。

micro iDSD BLの底面と側面に装備されたスイッチ類は従来機から変更なし。それぞれを使いこなすことで、サウンドを自分好みに追い込むことができる魅力はそのまま継承している

HD800ではしなやかでハリの良い管弦楽器が音離れ良く広がる。micro iDSDと比較して質感のざらつきや歪みっぽさがなくなった。ほんのりと厚みを持たせたヴォーカルの高密度でスムーズな描写もていねいなタッチで、低域はダンピング良く階調細やかに表現。音像の立体的な定位感も見事で、彫りの深いサウンドだ。

T1 2nd Generationはしっとりとした潤い良い艶を伴うヴォーカルの滑らかな質感が美しく、低域の制動良いリッチさと相まって豊潤で安定感ある音場を形成。音像はハリ良く濃密に描き、オーケストラの響きも重厚でウォーム感がある。シームレスな空間性も素晴らしく、micro iDSDよりも情報量、質感共に上回るクオリティの高さだ。

micro iDSD BLは評価の高かった高機能性に加え、音質についても高級機に匹敵する表現力を持ったmicro iDSD以上にコストパフォーマンスの高いモデルに仕上がっている。初めてその音に触れるというユーザーはもちろんのこと、例えばmicro iDSDの音に満足いかなかったという方にとっても改めてお薦めできる。据え置き環境/ポータブル環境の区別なく使える万能DACだ。

(岩井 喬)

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