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【特別企画】CLASS-S製品群や他社製ヘッドホンとも組み合わせ

JVCのハイエンドポタアン「SU-AX01」の実力を岩井喬が徹底検証!

公開日 2016/12/14 11:42 岩井 喬
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全体的にゴージャスなサウンド傾向で、ローエンドはふくよかに響き、管弦楽器やピアノは煌びやかに展開。弦楽器の芯も厚めであり、ウッドらしいウォームな余韻が楽しめる。

WOOD 01 inner(HA-FW01)

ボーカルはハリ良く滑らかで、ボトムの太さも確保した落ち着いた描写だ。ベースはリッチに響き、アタックはほんのりと艶が乗る。11.2MHz音源でもウォームで艶良く響きの深さを感じさせるが、輪郭は倍音のハリ感で補っており、声のクールさや弦のシャープさを表現。流麗で落ち着いたサウンドだ。

別売りケーブル「CN-HM01MB」を使ったバランス駆動では奔放だった中低域の響きが収束し、密度良く引き締まったローエンドのパワフルなボトム感を得られるようになった。

音像のフォーカスも高まり、ロックもタイトに表現。オーケストラの管弦楽器も旋律の逞しいハーモニーを厚み良くどっしりと響かせる。余韻の階調性も細やかでホールトーンの豊かな音伸びも耳当たり良く聴かせてくれた。

ボーカルやホーンセクションの輪郭はシャープでクールな描写となり、音離れ良く明瞭なサウンドである。重心の落ちた力強い音像感も見事で、SU-AX01のドライブ能力の高さを垣間見ることができた。

■他社製ヘッドホンはどう鳴らすのか?

ここまではJVCのCLASS-Sシリーズとの組み合わせでSU-AX01のクオリティをチェックしてきたが、より実践的な製品との組み合わせも試してみよう。用意したのはハイインピーダンス機の筆頭、ベイヤーダイナミック「T1 2nd Generation」だ。

他社製ヘッドホンとの組み合わせも試した

鳴らし難いヘッドホンの代表でもあるが、SU-AX01は開発当初からT1 2nd Generationおよび、前世代の「T1」を音質チューニングにも導入していたそうで、ポータブルアンプで鳴らしているとは思えない、実に開放的でグリップ力のあるサウンドを聴かせてくれる。

特徴でもある広がり良い空間性も豊かで、解像度の高さと音像の密度感の表現についても申し分ない。リズム隊の低域も厚みを持たせつつも制動良く引き締めた絶妙なバランスで、ピアノやシンバル、ホーンセクションといった高域の響きを爽やかに引き立たせている。

オーケストラの躍動感、質感の丁寧さも格別で、S/Nに優れた音場の階調細やかな表現力も見事だ。11.2MHz音源のリアルさ、ボーカルの抑揚豊かな描写性も生々しさに溢れ、分離良いリヴァーブの澄みきった響きも美しい。

変換プラグを駆使したバランス接続ではより落ち着きが増し、音像のしなやかな描写性が高まり付帯感のないリアルこの上ないサウンドとなる。余韻の響きもナチュラルで、音場は鮮度高くS/Nの良さが際立つ。

切り抜いたように分離の良いボーカルや楽器の音像はボディを締まり良くまとめ、極めて音離れの良いサウンドを聴かせてくれる。豊潤で大人びたオーケストラの響きも白眉であり、ポータブルアンプでここまでT1 2nd Generationの良さを引き出す環境は覚えがない。

数々のこだわりが込められたSU-AX01は他社製ヘッドホンの良さも引き出すポテンシャルを持っている

最後にもう一つ、ソニーの最新フラッグシップ機「MDR-Z1R」も聴いてみた。こちらははじめからバランス駆動で聴いてみたのだが、KIMBER KABLEとの協業で生まれたオプションケーブル「MUC-B12BL1」(両端がステレオミニ×2)などがそのままSU-AX01で使えることも嬉しいポイントだ。

T1 2nd Generationよりもリッチさや質感の流麗さが感じられ、暖色傾向の朗らかなサウンドを得られる。キックドラムやベースはふっくらとした余韻の豊かさとともに、ボディは制動良く引き締め、アタックの正確さを表現。ボーカルは滑らかで潤いに溢れた描写となり、スムーズで自然な際立ちとなる。分離良く豊潤な響きに包まれるオーケストラも階調性細やかで聴きごたえ十分だ。

■じっくり音楽に浸りたくなる有機的なサウンド

SU-AX01はどんなヘッドホン/イヤホンでも、その各モデルが持ち得るポテンシャルをフルで引き出す、余裕度の高いポータブルアンプである。その音質調整には多くの時間を費やしバランスを詰めていったそうで、伸びやかで開放的な空間表現や密度高く安定感ある音像の生々しい存在感についてもポータブル機としては出色の出来栄えといえるだろう。

据え置き環境でも存分に楽しめることはここまでのレポートでお伝えしてきたが、筆者としてはハイレゾDAPと組み合わせ、外出先でも濃密で落ち着きに溢れたリアルサウンドを楽しんでみたいと考えている。

例えば陽光あふれるオープンカフェでしっとりとしたバラードを時間をかけてじっくりと楽しむといったところだろうか。時間に糸目をつけず音楽に浸るという体験を改めて堪能したいと思える有機的なサウンドであった。

■試聴音源
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit)
・シカゴ『17』〜ワンス・イン・ア・ライフタイム(192kHz/24bit)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源

(特別企画 協力:JVCケンウッド)

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