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【特別企画】ノイズ半分に。高感度イヤホンとも好相性

OPPO「HA-2SE」を聴く − ポタアン新時代を拓いたモデルがさらに音質強化

2016/11/16 山本敦
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OPPO「PM-3」と組み合わせて音質をチェックする

今回は、4極グラウンド分離接続に対応したOPPOのヘッドホン「PM-3」と、4極グラウンド分離接続専用のリケーブルを用意して、HA-2SEの試聴を行った。また、比較用に従来モデルのHA-2も使った。また、筆者が使っているカスタムIEM「FitEar Air」も用いて、イヤホンによるリスニングも確かめた。

PM-3に4極グラウンド分離接続用ケーブルをつなぎ、HA-2SEのゲインを「Low」に設定して徐々にボリュームを上げていった。HA-2に比べると確かにLow時の出力が低く設定されていて、HA-2SEで同じボリュームレベルを得るためにはダイアルの目盛り位置を半ステップから1ステップぐらい持ち上げる必要がある。そのまま音量を上げていっても歪んでしまうことがなく、透明感とディティールの解像感はキープしてくれる。

平面駆動方式の密閉型ヘッドホン、OPPO「PM-3」とHA-2SEを、4極グランド分離接続対応のケーブルで接続して、その音を確かめた

宇多田ヒカル「道」では、エネルギッシュなHA-2に対して、HA-2SEではボーカルがよりウェットで艶めかしい。ブレスはともに鮮明なのだが、吐息がすっと空気に馴染むように爽やかなHA-2に比べて、HA-2SEは耳の奥に余韻が溶けてるような生々しい感覚だ。HA-2SEはビートの重心がより低く、安定している。ベースラインに躍動感があり、HA-2と比べて密度感も一段と高まった印象だ。

上原ひろみの「Wonderland」では、S/Nの良さが端的に伝わる。ピアノが無音から瞬時に立ち上がり、ピークまでの応答性も高い。ダイナミックレンジの広さにも限界を感じさせない。トリオの各楽器の定位が明確で、空間を立体的に描く。しなやかさと艶っぽさが持ち味の「PM-3」との相性の良さが際立つ。滑らかかつ彫りの深いベースライン、ドラムスのスピード感や、シンバルなど高域楽器のふくよかな余韻も印象的だ。

ダフト・パンク「Lose Yourself To Dance」では、EDM系楽曲との相性の良さを実感。中域の音色が濃く、高域はとても煌びやか。意図的な脚色感を感じさせないのだが、楽器それぞれが持つ音のエッセンスを素直に引き出すので、リアルなイメージが喚起される。ボーカルのハイトーンは、ここでもまた溶けるような余韻が味わい深い。ボーカル系の楽曲は、いずれもHA-2SEでは声質の描き分けがより明快になった。

ホリー・コールのアルバム「Girl Talk」でDSD音源もチェックした。冒頭のウッドベースのソロでは、鋭いインパクトを特徴とするHA-2に対して、HA-2SEではさらにスピード感が増して、よりしなやかで肉付きの良いベースラインとなる。静と動の鋭いコントラスト表現には息を呑む。パワーのないアンプで聴くと、ボーカルがもっさりとした印象になる楽曲だが、HA-2SEのサウンドはクリアで清涼感にあふれる。特に声の鮮度が高い。キリッと硬質な芯を持ったピアノの音は、HA-2SEでは芯の硬さも程よくほぐれる。

イヤホンとの組み合わせによるチェックは、FitEarのカスタムイヤホン「FitEar Air」で行った

次にカスタムIEMでサウンドをチェック

カスタムイヤホン「FitEar Air」に交換して、ギターユニット The DUOの「Coco Rojo」(『Nullset』より)を聴く。活き活きとしたジューシーな音の粒が弾ける。ボリュームを上げて聴いても歪みっぽさが出てこないし、音量を絞っても芯が痩せないずフレッシュさが損なわれない。中低域の艶とふくよかな倍音はHA-2に比べると明らかな差がある。音楽が描く世界により深く自然に没入できるサウンドだ。

次ページカスタムIEMでサウンドをチェック

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