AKG「N40」との相性は？人気ハイレゾDAP 5機種と組み合わせレビュー

■SONY「NW-ZX100」

192kHz/24bit・PCMに加え、5.6MHz・DSD（PCM変換）まで再生できるハイレゾ対応ウォークマンの最新世代機、ソニー「NW-ZX100」は独自のフルデジタルアンプS-Master HXに加え、前モデル「NW-ZX1」を継承するL・R／正負独立4電源やOSCONも引き続き採用。アルミ切削筺体にシャーシを一体化させたモノコック構造によって高剛性を実現するとともに、銅メッキ＋金メッキを施すステンレス鋼板リアシャーシを投入し低インピーダンス化も実施。クロックも2基用意されたほか、高純度無鉛高音質ハンダやフィルドビア構造の低誘電率基板、カップリングコンデンサーの排除による低域のキレの改善など、より細やかな点にまで配慮した高音質モデルとなっている。

N40を使ってチェックしたZX100の基本的なサウンドはNW-A20シリーズの延長線上だが、より解像感が高まった印象で、質感も丁寧でナチュラルに描き出す。クラシックはNW-A20シリーズと同様、爽やかな管弦楽器の旋律と余韻の素直な描写を味わえる。低域の表現としては適度な制動を感じられ、ティンパニの胴鳴りも皮のハリ感とバランス良くまとめ、音場をクリアに描く。質感も非常にしなやかで、余韻の階調も一際細やかに感じた。

ジャズピアノにおいては適度な硬さを持ち、ハーモニクスもニュートラルな伸びの良さを実感。ウッドベースはリッチな胴鳴りを聴かせるが、弦の質感などフォーカスの良い描写性を見せる。ドラムの厚みも自然で余韻のすっきりとした耳当たり良い傾向だ。

ロックにおいても低域の豊かさは感じられるものの、NW-A20シリーズに比べれば制動感も向上し、音像の輪郭もより鮮明に感じられる。ボーカルのニュアンスもより細やかでエッジ感も素直だ。エレキギターのリフのザクザクとしたテイストも厚みと明瞭さを両立させ、ナチュラルに各楽器の音色をまとめてくれる。リズム隊の密度感も良い雰囲気だ。

The Cars「You Might Think」（『Heartbeat City』192kHz/24bit）では豊かな空間性の表現力とファットなベースのどっしりとした安定感のバランスが良く、素直なボーカルの厚みやしなやかなディティール感は耳馴染み良い。シンセの伸びやかな旋律も太さと鮮明なエッジが適度に融合し、澄んだ音場へ広がり良く展開。クリーンなテイストのギターの輪郭感や太さのバランスも申し分ない。こちらもメカニカル・チューニング・フィルターはHIGH BOOSTが相性良く、ベースのアタックがより締まり、ボーカルのヌケの良さやシャープな立ち上がりを手助けしてくれる。ギターのエッジ感についても荒々しさが感じられるようになり、よりリアルな空気感が鮮明となった。