ファイル・ウェブ「アナログレコード特集」

入門者にオススメ!アナログプレーヤー(3)スペック「AP-50」

石原 俊
2016年06月23日


MM対応フォノイコライザー搭載のハイ・コストパフォーマンス機
SPEC+ AP-50
¥57,000(税抜)


==こんな方にオススメ==
サウンドは極めてニュートラル

レコード趣味を今すぐ始めたい方には強くお薦めしたい。本機を買ってくれば、付属のケーブルで手持ちのオーディオシステムとつなぐだけで、直ちにLPが聴けるのだ。本文にも記したように、本機のサウンドは極めてニュートラルで、レコードの音そのものが楽しめる。オーディオに気を取られずにレコードの世界に浸るにはうってつけだ。



■内蔵フォノイコライザーの高い再現能力に注目

新進オーディオ・エレクトロニクス・メーカーのSPECが2012年に発表したダイレクトドライブ式機である。外観からも窺い知れるように、本機は銘機と謳われたSL‐1200系の血筋を受け継ぐものだ。大型のストロボ式回転モニター、手元を照らすスタイラスライト、回転数調整用スライダーなど、DJ用機の流を汲む機能が満載されている。スタート/ストップボタンは操作しやすく、立ち上がりは極めて速い。トーンアームはスタティックバランス式のS字型で、標準的なMM型のカートリッジが付属する。興味深いのはMMカートリッジ用のフォノイコライザーが搭載されていることだ。SPEC社はこの回路の積極的な使用を推奨している。

その音質は価格をはるかに超えるレベルにある。このクラスのプレーヤーのフォノイコライザーはオマケ的な性格が強いのだが、本機は断じてそうではない。エネルギーバランスはアナログらしいピラミッド型。付属のMM型カートリッジは細身な音のはずだから、フォノイコライザーでこの音を作っているのだろう。ただし、カラーレーション感は希薄で、中立的な性格が強いようだ。

ジャズは表現力と説得力が高度な次元で両立している。現代の高級機は前者に軸足を置いているので、演奏の内容はよく分かるのだが、ミュージシャンの魂のようなものはあまり伝わってこない。一方、ヴィンテージ機はミュージシャンの言わんとすることは伝わってきても、肝心な音楽そのものがよく分からないことがままある。それに対して本機は中立的で、音楽的にもオーディオ的にも満足感・満腹感が得られる。

ヴォーカルも中立的だ。古典機や先端機のような「レコードプレーヤーとしての主張」が少なく、レコードの音そのものが伝わってくる。それでいて物足らなさは全くなく、それどころかレコードの世界に埋もれて過ごしたいとすら思われてくる。

クラシックもバランスが良く、古典的な味わいと、現代的な情報量が高次元で統合されている。古い録音でも新しい録音でも分け隔てなく楽しむことができる。



【SPEC】
●駆動方式:クォーツロックサーボ式ダイレクトドライブ ●回転トルク:1.6kgf・cm以上 ●回転数調整範囲:±10%,±20% ●回転数:33 1/3rpm、45rpm、78rpm ●ワウ・フラッター:0.2% wrms ●S/N比:50dB ●ターンテーブル:アルミダイキャスト 直径:332mm ●モーター:ブラシレスDCモーター ●アーム型式:スタティックバランスS字型アームパイプ ●有効長:230.5mm ●オーバーハング:16mm ●針圧可変範囲:0〜4.0g ●適合カートリッジ自重:6〜10g ●フォノイコライザーアンプ:内蔵(ON/OFFスイッチ付) ●外形寸法:450W×157H×352Dmm ●質量:10.5kg ●取り扱い:スペック(株)



このコンテンツは「やさしくできるアナログレコード再生の本」からの転載です。
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