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【特別企画】ハイエンドから高コスパ機まで

いま、ゼンハイザーが推すイヤホン3機種。CX 3.00 / MOMENTUM In-Ear / IE 80一斉レビュー

2016/06/08 折原 一也
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■原点にして頂点。イヤーモニターサウンドの「IE 80」

長きに渡ってゼンハイザーのイヤホンを代表してきた“IE”シリーズ。その上位モデルのIE 80は、2011年発売時からのロングセラー機だ。発表当時の実売価格は36,000円前後。

IE 80

同社イヤホンラインナップとしては、2012年に新モデル「IE 800」(実売価格10万円超)が登場したことでトップモデルの座はそちらに譲っているが、個人的にはIE 80のクラスにまで到達すれば、イヤホンを上位機種へとステップアップしていく買い換えはもう“上がり”だと感じる象徴的なモデルだ。

ハウジングにゼンハイザーロゴを配置

特徴的なスクエア型の筐体

今、改めてIE 80のサウンドを確認すると、音楽を再生した瞬間に“本物の良さ”を突きつけられる。まずは上述の2機種と同様にiPhone 6に直接接続してみたが、イヤーモニターとして作られたイヤホンだと納得させられる精緻な再現性だ。宇多田ヒカル『Automatic』では、歌声のニュアンスの引き出し方が突き抜けており、高域までの丁寧な鳴りがしっかり感じられる。そしてセパレーションが良く、空間の見通しが高い。

本体サイドから見たところ

リケーブルに対応する

SHANTI『Born to Sing』、カラヤン指揮『ヴィヴァルディ 四季 -春-』などで楽器演奏に注目して聴くと、楽器の音色が空間に消えていく余韻までもが精密に描写される。今回の企画ではゼンハイザーの3機種を順に聴き比べているが、その中でも良い意味で最も大人しい、品位の高い音にまとめられているのがIE 80だ。

IE 80を聴き込んでいて楽しいのは、音源やプレーヤーを変えれば、そのソースおよびソース機器の情報が素直に引き出されること。まずはiPhone 6に直接接続して音を確認してみたが、例えばプレーヤーを「AK Jr」に変えてみると、そのエネルギッシュなサウンドをIE 80流の落ち着いた音で上手く鳴らし倒してくれるし、OPPOのポタアン「HA-2」を接続して聴くとオーディオらしい豊潤な音の味わいも付く。

音源の持つ情報、プレーヤーの持ち味まで、すべてを出し尽くすポテンシャルを持ったイヤーモニターのIE 80の実力は、最新の再生機器と組み合わせてもやはり健在だ。



CX 3.00、MOMENTUM In-Ear、IE 80と聴いてみると、同じゼンハイザーのイヤホンのなかでも価格レンジ以上に、“シリーズごとの音”を持っているのが分かる。入門機でありながらスタンダードな音質の良さを備えるCX 3.00、現代的なサウンドを志向したMOMENTUM In-Ear、イヤーモニターとしての圧倒的な情報量を持つIE 80と各機種の個性は異なるが、それぞれのサウンドの中ではどれも一級品。“ゼンハイザーの認めた音質”として選んでも、どれも間違いのないイヤホンとなるはずだ。

(折原 一也)

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