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【特別企画】人気ブランドが日本再上陸

Regaのアナログプレーヤー「RP6」を聴く。“Made in England”のこだわりモデル

2016/05/18 野村ケンジ
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思わずうなるほどのリアルサウンド!
しかも面倒なセッティングはほとんどナシ


さて、ここからはいよいよ「RP6」のサウンドについてレビューしていこう。何を隠そう、今回の試聴は数日にわたり2カ所で行わせてもらった。というのも、まず最初に音元出版の試聴室で行ったところ、価格相応のサウンドは聴かせてもらったのだが、その音から「いや、この製品には何かそれ以上の可能性がある……!」という秘めた実力の片鱗がうかがえたからだ。ということで、ラージモニタースピーカーをメインとする自前の試聴室に持ち込み、あれやこれやと試してみることにした。

RP6を数日間にわたり、音元出版試聴室と自宅試聴室でハンドリングを行った

結論からいうと、筆者の勘は当たっていた。なんだコレは……と思わずうなってしまうくらい、とてつもなく上質でいて、かつ生演奏としか思えないくらいにリアルなサウンドを堪能することができたのだ。しかも、ほとんど何もセッティングを行うこともなく、ポンと置いたままに近い状態で(行ったのは2段階しかないトーンアームのスケーティング設定をオンにしてセンター定位をほんのちょっと調整しただけ)。

驚くことに、面倒なセッティングはほぼ必要なし

たとえば「グレゴリオ聖歌集」を聴いたとき、最初の暗ノイズだけで教会の空間的な広がりを感じ、歌が始まるとひとりひとりの歌声がとても明瞭に、立ち位置までもが把握でき、さらには、声の響きの様子から教会の広さや壁の堅さ、空気の冷たさまで伝わってくるかのよう。まさに、その場に居るかのようなリアルな歌声を堪能することができたのだ。また、ジョン・コルトレーンの演奏も素晴らしい。全体的にキレの良いサウンドながら、抑揚を変に強調することもなく、グルーヴ感の高い演奏が楽しめた。何よりも、音のリアルさが格別で、特にベースやドラムは、生演奏にしかきこえない! まさに血の通ったサウンドに感じた。

試聴で活用した野村氏の自宅システムは、業務用のラージモニターTAD(TD-4001ドライバー+TL-1601bウーファー+PT-R7トゥイーター)をChord「SPM1400」モノラルパワーアンプ2台でドライブ。プリアンプにはサンバレー「SV-192A/D ver.2」を使用している。また、今回の試聴にはフォノイコライザーとしてiFI Audio「iPhono 2」も利用した

いっぽうで、ロック系との相性も絶妙。レッド・ツェッペリンを聴くと、とてもエネルギッシュな、厚みのあるサウンドが楽しめた。先の2枚に比べると音のリアルさはやや減衰するものの、勢いのよさ、グルーヴ感の高さが際だって感じた。また、現代録音との相性もなかなかで、カラフィナを聴くと、3人の女性ヴォーカルの、非常にのびのびとした美しい響きの歌声を堪能することができた。


この価格でここまでのクオリティを
実現するプレーヤーは、そうそうない


はっきり言おう。17万円という価格で、ここまでのクオリティ、ここまで魅力溢れるサウンドを堪能させてくれるアナログプレーヤーは、そうそうない。しかも、セッティング調整をまったくする必要のない、完成されたモデルに仕上げられているのだ。

カートリッジは“コレがベスト!"といわんばかりのベストマッチさを示しているし、ターンテーブルシートも曲によっては替えてもいいかな…と思う程度で、基本的に標準で充分。レコードスタビライザーも、EPアダプタを兼ねたオヤイデ「STB-EP」が必要か否かのレベル。アナログプレーヤーといえばセッティングの緻密さがハードルの高さに繋がっている面もあるのだが、そういった心配のない、まさに“完成品"と呼びたくなるようなベストコンディションに仕上げられているのだ。

もし、注意する点があるとすれば、設置するラックの剛性感くらいだろうか。古き良きアナログ時代の定番であるヤマハ「GTラック」に設置することで、先にレビューしたような超絶リアルなサウンドを堪能することができた。このように、設置するラックのみ少々の気遣いは必要となるものの、あとは箱から出して組み立てるだけで、この音が楽しめるなんて、最高! のひとことに尽きる。

手軽に、それでいて音質に妥協することなく良質なサウンドを楽しみたいという人には、太鼓判つきでオススメできる製品だ。正直、筆者自身も“この音がこの値段で楽しめるのだったら欲しい!"と思った。そして逆に、17万円でこの音が楽しめるのだったら、上位モデルの「RP8」や「RP10」はどんな音が聴けるのだろうかと、興味が尽きない。Regaはとても魅力的なブランドといえる。

(協力:完実電気)

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