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DAC兼小型アンプとして使用可能

【レビュー】I2Sの鮮烈な音を手軽に。サンハヤトのラズパイオーディオ用DACボードを試す

公開日 2016/05/12 10:23 海上 忍
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サンハヤトからラズパイ用ハイレゾリューションオーディオDACボード「AS-E404」が登場。ラズパイに装着することでI2Sによるサウンドが楽しめるようになる本機を、連載 “ラズパイ・オーディオ通信” でもおなじみの海上忍氏がレビューする。

■ラズパイ・オーディオで「I2S」を使う意義

PCには「音の出口」が複数ある。USB、本体直付けのステレオミニプラグ、そしてHDMI。内蔵スピーカーを含めてもいいだろう。しかし、Raspberry Piなどシングルボードコンピュータはそこに「I2S」という選択肢が加わる。

I2S(Inter-IC Sound、アイ・スクウェアード・エス)は、4本のデジタル信号線でステレオ音声をシリアル伝送する規格。通常はデジタルオーディオ機器内部でDACなどのIC間をつなぐ目的で利用されるが、これを外部機器との通信に利用することで、より「生」に近い信号にしようという狙いだ。

PCでデコードした信号をI2Sで出力することも可能だが、直接信号を取り出せるよう設計された市販品は存在しないため、USB接続したDDC(Digital to Digital Converter)から取り出す形となる。一方、Raspberry PiでI2S出力することはたやすい。OSの機能を利用し、オーディオ信号の出力先を汎用入出力ポート「GPIO」に変更するだけでいいのだ。

Raspberry Piでは、通常はIC間で伝送されるオーディオ信号をGPIOポートから取り出せる

そうしてGPIO経由で出力されたI2Sの各信号は、DACを積んだデバイスへ直接送信され、他方式と比較して鮮度の高い音を得ることができる。Raspberry Piの場合、USB-DACへ非同期伝送しても高品質なオーディオ再生は可能だが、歴代に採用されているBCM製SoCの特性からしてI2Sのほうが有利といえる。

たとえば、初代Raspberry Piに採用されたSoC「BCM2835」のデータシートには、以下の記述がある。これを踏まえると、BCM2835が出力するBitクロックはバス(APB)のタイミングとは非同期であり、バスのタイミングによる影響を完全には排除できないUSBコントローラ経由での出力よりジッターが少ないといえる。BCM2835の後継であるBCM2836(Raspberry Pi 2のSoC)、BCM2837(Raspberry Pi 3のSoC)もまた然りだ。

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8 PCM / I2S Audio

The PCM_CLK can be asynchronous to the bus APB clock and can be logically inverted if required.
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