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オーディオ性能を山之内正が評価

OPPO「BDP-105D JAPAN LIMITED」の実力を検証。物量投入とチューニングで音質追求

公開日 2015/12/25 14:29 山之内 正
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ハイレゾ音源の再生でもう一つ気付いたことがある。弦楽オーケストラやヴォーカルなど、アコースティックな録音の音源を再生しながら、プレーヤーやスピーカーのセッティングなど、再生システムを少しだけ調整したのだが、本機のハイレゾオーディオは、その僅かな設置条件の違いに対して鋭敏に反応し、音像の高さやフォーカスなどをさらに追い込むことができた。微小情報を正確に再現するシステムならではのエピソードとして、紹介しておきたい。

セッティングの調整に敏感に反応するところも、BDP-105DJPLの持つポテンシャルの証左だ

また、本機は標準でTIDALに対応していて、オンラインでロスレス音声を自在に楽しむこともできる。TIDALは幅広いジャンルで旧譜だけでなく新録音が揃っているので、聴きたいジャンルや目的のアーティストが適合すれば、日常的に高いクオリティで音楽に浸れるサービスとして注目しておきたい。いずれ日本でも正式にサービスが始まれば、TIDALを利用するために本機を選ぶという音楽ファンが出てくるのではないだろうか。

マルチチャンネル再生で改めて実感した“JAPAN LIMITED”のポテンシャル

次に、マルチチャンネルシステムでSACDのサラウンド音源を聴いた。TA-DA5800ESとの接続では、HDMIに加えてアナログ接続でもマルチチャンネル再生が楽しめることに注目したい。BDP-105DJPLにはアナログ出力、TA-DA5800ESにはアナログ入力がそれぞれマルチで付いているが、それがいまではどちらも貴重な存在になってしまったのだ。ヤノフスキとベルリン放送響のワーグナー『ヴァルキューレ』をマルチで聴くと、ステージいっぱいに広がった大編成のオーケストラが目の前に展開し、物理的な距離感以上に、音楽との距離の近さを実感することができた。

マルチチャンネル再生はHDMI出力およびアナログマルチ出力の両方で検証した

低弦に分厚いエネルギーが乗るのはステレオと同様だが、それに加えてサラウンド音場の密度の高さにも強い印象を受ける。特に、アナログ接続でR.シュトラウスの管弦楽曲を聴くと、サラウンド音場へのホールトーンの広がりに不自然な隙間がなく、リスナーを緩やかに包み込む感触が味わえる。

本機のアナログマルチチャンネル出力基板

こちらはステレオ出力基板。RCAおよびXLRの出力に対応する

HDMI接続のクオリティも水準以上だが、アナログ接続のポテンシャルの高さをあらためて思い知らされる。手持ちのAV機器から本来のクオリティを引き出すという意味でも、BDP-105DJPLへの注目はこれからさらに高まっていく可能性がある。

ディスクプレーヤーにおいては、デジタル技術の洗練度に加え、振動対策やノイズ対策などアナログ的手法を駆使した追い込みの有無が音質を大きく左右する。BDP-105DJPLをオーディオプレーヤーとして検証した今回の試聴では、ステレオ再生とマルチチャンネル再生どちらもベースモデルのBDP-105DJPに比べてスケール感と細部の描写力が向上し、表現領域を広げていることを確認した。端的に言って、これなら音へのこだわりが強い音楽ファンをも満足させられると思う。利便性の高い万能機という位置付けから、クオリティ志向の強いハイグレード機へと着実な進化を遂げ、ひとつ上のクラスへの移行を果たしたのである。

(山之内 正)

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