HOME > レビュー > 審査員・鴻池賢三が語る、「VGP」ゼンハイザー27製品受賞の理由:イヤホン編

IE 800やCXシリーズをレビュー

審査員・鴻池賢三が語る、「VGP」ゼンハイザー27製品受賞の理由:イヤホン編

2015/06/18 鴻池 賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
弊社主催のグランプリ「VGP 2015 SUMMER」受賞結果が6月17日に発表された。今回もゼンハイザーのイヤホン・ヘッドホンが数多く受賞し、実に27製品が選出された。ゼンハイザーと言えばハイエンドの代名詞だが、実際にはエントリークラスまで充実したラインナップとなっていることから、今回の大量受賞という結果になった。これを受け、改めてゼンハイザー製品の魅力を確認すべく、VGP受賞製品の中からいくつかピックアップしてレビューを行った。イヤホン編・ヘッドホン編の2回連続企画として、まずはVGPのライフスタイルAV分科会座長である鴻池賢三氏によるイヤホン編のレビューからお届けする。

IE 800:金賞(インナーイヤー型ヘッドホン・8万円以上)

IE 800


ドイツの名門音響機器メーカー「ゼンハイザー」が擁する豊富なラインアップの中で、イヤホンの頂点に立つのが「IE 800(関連ニュース)」である。

各社がトップエンドモデルを中心にバランスドアーマチュアドライバーおよびマルチウェイ構成を採用する中も、同社は一貫してダイナミック型にこだわってきた。それは、1つのドライバーで低域から高域までカバーすることこそが、シンプルかつ純度の高い音を実現する上で最善の方法と見抜いていた同社の見識に基づくものである。

本機はその集大成と言え、トレンドに流されず信念を貫いて最高峰の音質を実現した成果に対し金賞が授与された。

もちろん、クオリティーの追求と技術革新の手も緩めることはなく、筐体は超コンパクトながら剛性の高いセラミック素材を採用。外耳道で発生する共鳴を打ち消すゼンハイザー独自のD2CAテクノロジー(Damped 2 chamber absorber)を投入するなどユニークさも持ち合わせている。

筐体は超コンパクトながら剛性の高いセラミック素材を採用

独自のD2CAテクノロジーを投入

音質は、ダイナミックドライバーならではの豊かな低域再現能力をベースに、超繊細で耳あたりの良いクリアなサウンドが魅力。また、低域から高域までスムースで濃密な描写性能は、音楽のジャンルを問わず見事なバランスの美を奏でる。

ケブラー繊維入りのケーブル

宝石のように美しい外観に加え、ケブラー繊維入りの丈夫なケーブルは、見た目も手触りも上質で、本物のハイエンドを手にする高揚感が得られる。ちなみに、IE 800が金賞を受賞するのは今回で6回目。「VGP 2013 SUMMER」においては、全審査員が満点を投票した。ハイレゾ時代においてもなお最高峰の評価を受け続ける本機は、歴史に残る銘機として語り継がれるに違いない。

MOMENTUM In-Ear:金賞(インナーイヤー型ヘッドホン・1万円以上3万円未満)

MOMENTUM In-Ear


ゼンハイザーの優れた基本性能と音質をベースに、洗練度の高いデザインを融合させて好評を得ているヘッドホン「MOMENTUM」。本機は、そのMOMENTUMのコンセプトをそのままに、コンパクトなイヤホンに仕上げた傑作だ(関連ニュース)。

基本音質は同社のこだわりである、ダイナミック型ドライバー1基による高密度サウンド。筐体には強度の高いポリカーボネート素材を採用し、音質面で有利なのはもちろん、有機的な曲線美が目を惹く。

筐体には強度の高いポリカーボネート素材を採用

印象的なワインレッド色は絶妙な艶をまとい、ディテールの上質さもMOMENTUM譲り。ケーブルにも赤と黒のツートンカラーを採用するなど、トータルにコーディネイトされているこだわりにも注目したい。

また、サイドにあしらわれたゼンハイザーのロゴがアクセントとして誇らしげだ。ケーブル部にはリモコンを搭載し、iOSデバイス向けとGALAXY向けの2タイプを用意。最新の試聴スタイルを意識した機能性も嬉しい。

サイドにはゼンハイザーのロゴが輝く

ケーブル部にリモコンを搭載

音質はゼンハイザーらしい高解像度サウンドに、MOMENTUMシリーズで好評を得てきた、濃密で温かみのある音調を融合。量感がありつつも適度に締まった低域は、ベースやドラムの質感を描き出し、音楽のジャンルを問わず、リズムによる躍動感も楽しめる。また、イヤホンでありながら音場が広く、ヘッドホンに通じるイメージも、他に類をみないオリジナリティーに溢れるもの。

伝統に裏打ちされた基本性能と高音質、所有する悦びを与えてくれる美しさ、そして機能性と、全ての要素を高次元にまとめ上げた完成度の高さと提案性がVGP審査会でも大いに評価され、金賞が授与された。

次ページ続いて、CXシリーズをレビュー

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: