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徹底したデュアルモノ構成を採用

エソテリックの準旗艦プリ「C-02X」&パワー「S-02」をレビュー - Grandioso直系の技術を凝縮

2015/06/18 井上 千岳
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昨年から今年にかけて全容が完成したフラグシップGrandiosoシリーズのコンセプトを受け継ぎ、これに準じる位置付けで開発されたのがプリアンプ「C-02X」(関連ニュース)とパワーアンプ「S-02」(関連ニュース)である。

上:プリアンプ「C-02X」(¥1,400,000・税抜) 下:パワーアンプ「S-02」(¥1,400,000・税抜)

準フラグシップと呼ばれているが、電源を別筐体としたGrandiosoは使い勝手の点からも別格と言ってよく、この2機が事実上のトップモデルということになりそうだ。準フラグシップというのはそういう意味と捉えて構わないと考えられる。こういう位置付けであるだけに、内容はGrandiosoシリーズを色濃く受け継ぎ、部分的にはそっくり継承した設計が行われている。単なるコストダウンとは違うと言わなければならない。

電源トランスを5基搭載する「C-02X」

C-02Xは、「C-02」の後継機となるプリアンプである。左右独立のデュアルモノ構成で、2枚の基板が全く同じ向きで並んでいる。このデュアルモノ構成がGrandiosoを始めとする同社の基本的な設計手法のひとつである。

C-02X

左右独立のデュアルモノ構成

増幅回路はシンプルで、シグナルパスを最短に留める簡潔な設計が行われている。ただし全体はフルバランスで、これは増幅回路だけでなく電源にも関係がある。

入力はバランス/アンバランス合わせて5系統装備するが、そのそれぞれに入力アンプが搭載されている。アンバランス入力はここでバランス化され、リレー駆動のセレクターに接続される。これ以降は全てバランス動作で信号処理が行われるわけである。

「C-02X」の背面

出力はバランス/アンバランス2系統ずつだが、ここでも出力アンプが端子ごとに装備されている。アンバランス信号はここで作られることになる。

特筆されるのは電源トランスで、入力アンプと出力アンプのホット側とコールド側に1基ずつ、合計4基のトロイダル・タイプが搭載されている。もともとコモンモード・ノイズの抑制に優れたバランス回路に、電源トランスまで別々に装備することでいっそうノイズの影響は低減される。念の入った贅沢な構成である。

電源トランスはこのほかコントロール部に1基用意されているので、合計5基ということになる。整流回路には最近話題のSiC(シリコンカーバイド)ショットキーバリア・ダイオードを採用。大容量コンデンサーとの組み合わせで低インピーダンス・低ノイズでハイスピードな電源部を形成している。

出力アンプは特に本機では重要で、電流伝送能力が高くスルーレートが2,000V/μsというハイスピードな素子を採用している。また回路の直近には小容量コンデンサーを多数並列した、EDLCアレイと呼ぶ安定化回路を配置しているが、これはGrandioso「C1」と同一である。

小容量コンデンサーを多数並列した、EDLCアレイと呼ぶ安定化回路を配置

プリアンプの要となるボリュームは、左右のホット/コールドそれぞれに独立した合計4回路のラダー抵抗を一括して連動させる独自のQVCSを搭載している。またオーディオ基板からボリュームへの配線を排し、シグナルパスを短縮することにも成功した。

なお、ボリュームは5種類のカーブを選択することができる。また入力ごとに±18dBの範囲でゲインを調整し、音量を揃えることが可能だ。このほか位相の切り替えも入力ごとに設定することができる。

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