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サウンド傾向の違いは?

【レビュー】SHUREの新入門ヘッドホン「SRH144」「SRH145」の音を早速チェック!

2014/10/20 長谷川教道
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SHUREのヘッドホンにエントリーモデルが登場

私たちの日常ではスマホやタブレットで音楽を聴くというスタイルがすっかり定着している。でも、その一方で「スマホの音はあんまり良くないんだよね」なんて声も……。本当にそうなんだろうか。いま使っているヘッドホン、もしかして本体に付属されていたもの? そうだとしたら、ヘッドホンをグレードアップしてみてはどうだろうか。

さすがに何万円もする高級モデルには手が出ないとしても、5,000〜6,000円台で探せば「えっ、まったく違うじゃないか」とビックリするような良い音に出会えるはず。今回はシュアから新たに発売される「SRH144」と「SRH145」、「SRH145m+」(関連ニュース)のレビューだ。

シュアのSRHシリーズといえば、プロフェッショナルユースとして優れた音質と信頼性の高さが評価されている。そのラインナップにエントリーモデルが加わった。これはユーザーにとっては朗報だ。

「SRH144」と「SRH145」は、デザインや装着感はほとんど同じ。強力なネオジウム磁石と36mm径のダイナミック型ドライバーの組み合わせも共通しているが、SRH144がセミオープン型なのに対してSRH145は密閉型となっている。それぞれの方式に最適化したチューニングが施されているのは言うまでもない。

温かな響きと音場の広がり感が持ち味の「SRH144」


SRH144
では「SRH144」からチェックしていこう。まずはパッケージをあけてみる……何とスタイリッシュなデザインだろうか。ヘッドバンドは折りたたみ式になっていて、とてもコンパクト。しかも、150gと超軽量だ。


SRH144はセミオープン型。SRH145は密閉型となる。

コンパクトに折りたたみも可能
イヤカップは耳を覆うタイプではなく、耳の外側からそっと抑え込むオンイヤーデザインで、イヤカップの位置も簡単に調節できる。ヘッドバンドのスプリングはしなやかな感じ。内側にはパッドが入っていて、このフィット感はとてもいい。簡単に装着でき、外す必要があるときにもラクラク。この軽快さはいい。余分なデコレーションをそぎ落とし、実用性と機能美を追求したデザインと言えそうだ。

オンイヤータイプのイヤパッドは位置調整も可能

まずはCDからリッピングしたダイアン・リーブスの「ビューティフル・ライフ」から「I Want You」。ダイアン・リーブスのボーカルが自然な音像感で、バックバンドとの絡み合いで作られる音場感にも雰囲気がある。それならビリビリするような輪郭のボーカルはどう鳴るんだろうと、CDからリッピングしたJUJUの「YOU」から「この夜を止めてよ」を聴く。鋭く声が突き刺さるというよりも、どこか切ない情感が漂う。こういうちょっと優しい雰囲気が好きな人にはオススメだ。

だからといって暗い音ではない。そこがいい。小野リサの「BRASIL」から「Upa Neguinho」。明るくて軽快なリズムが快い。ガツンと押してくるタイプではなく、じつに開放感のあるサウンドステージが描き出され、しかもそのトーンが温かい。これはSRH144のいちばんの良さだろう。クラシックで大友直人指揮・東京交響楽団のホルスト「惑星」から有名な「木星」。オーケストラの合奏に厚みがあってとてもきれいだ。エントリーモデルでもこれだけのハーモニー感が出せるのだと感心する。

SRH144は高域も低域も素直に伸ばしてワイドレンジ化を図り、セミオープン型らしい音場の拡がりを感じさせる音作りだと言える。


パワフルな低域など躍動感溢れる音が魅力の「SRH145」


SRH145
一方の「SRH145」はパワフルな低域と、中高域の張り出しが特長だ。ボーカルをはじめとした各楽器の音像がよりシャープで、ベースもグンと出てくる。ダイアン・リーブスやJUJUの声がいちだんと鮮やかに聴こえる。響きがギュッと凝縮され、音場の密度が高まった印象だ。このダイレクト感がSRH145の魅力だろう。


こちらも折りたたみが可能

イヤパッドもSRH144と同じくオンイヤータイプ。
小野リサの声にも張りがあり、ボサノバらしい躍動する感じがとても良く出ている。「惑星」ではオーケストラのハーモニーはそのままで、各セクションの音色にメリハリ感が出て、SRH144に比べるとコントラバスや金管がいくぶん張り出してくる感じだ。

ケーブルは非着脱式。

プラグは3極タイプの3.5mmステレオミニ。


好みや使い方にあわせて選べる3モデル

さあ、どちらを選ぶべきか。セミオープン型、密閉型、それぞれの特徴を生かした音作りになっているので、これは好みで選んでほしいとしか言いようがないが、雰囲気、広がり感、温かさ、響きの豊かさ……で選ぶなら「SRH144」、メリハリ、ダイレクト感、タイトな躍動感、生々しさ……で選ぶなら「SRH145」ということになるだろうか。

もうひとつの新製品である「SRH145m+」は基本的にはSRH145と同じなのだが、iOS用に便利機能を加えたコントローラーを搭載したモデル。再生/ポーズ、音量調節ができるほか、2回押しで曲送り、3回押しで曲戻しなどの操作ができす。さらにマイクも内蔵しており、電話応答もできるという優れもの。このためヘッドホン端子に接続するプラグが4極仕様になっているので、通常の3極仕様のヘッドホン端子に差すと接触不良になることもある。なのでiPhoneやiPad専用と考えてほしい。価格は1,000円ほどアップになるが、iPhoneユーザーならSRH145m+を選ぶメリットは大きいだろう。

SRH145m+にはiOS端末用リモコンが付属する

今回の試聴ではiPhone5sとiPad Air(どちらもiOS8.02)を使用。アプリはiOS内蔵の「Music」がメインでイコライザはオフで聴いた。さらにオンキヨーの「HF Player」で、CD音源はもちろんハイレゾ音源も聴いている。小野リサのアルバムは96_24、「惑星」はDSF2.8のハイレゾ音源だ。iPhone5sやiPad Airのヘッドホン端子ではハイレゾ音源もCD並みにダウンコンバートされてしまうが、それでもハイレゾらしいキメの細かさや鮮度の高さがはっきりと聴きとれる。

エントリーモデルという位置づけながら、音楽の再生に必要な性能を高いレベルでクリアし、なおかつユーザーの好みや用途に合わせた個性あるラインナップを揃えてくるのだから、シュアの意気込みは相当なものだし、その意気込みに応えるだけのクオリティをもったヘッドホンだと感じる。スマホやタブレットの再生能力は決して侮れない。その能力を引き出すためにヘッドホンの果たす役割は大きい。だからこそ、エントリーモデルの充実はとても大切なことなのだ。

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