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【特別企画】プロオーディオで実績のある野村ケンジいちおしモデル

“圧倒的な高CP”− AKAI professionalのモニタースピーカー「RPMシリーズ」の実力に迫る

2014/08/28 野村ケンジ
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PCオーディオ、ニアフィールドオーディオで注目を浴びているアクティブスピーカー。ハイレゾが流行る中、設置性や機能性だけでなく、高品位な音質も求められているジャンルだ。そこで今回、プロオーディオで幅広い機器をラインアップし、評論家・野村ケンジ氏のお墨付きモデルであるAKAI PROFESSIONALの「RPMシリーズ」のクオリティを徹底チェックした。

個性的な魅力あるサウンド
使用感の良さでも好評を博す


月刊『AVレビュー』8月号の特集にて、アクティブスピーカーを15機種(サイズ違いのバリエーションモデル等を含めると20機種近く)試聴させてもらった。いずれも、モニタースピーカーとして使われる製品でありながら、オーディオリスニング用としても使えそうなしっかりとした個性を持った魅力的なサウンドを奏でてくれたのだが、その中でも一際印象に残ったのがAKAI professional「RPM500(詳細はこちら)」である。

RPM500。低域ドライバー50W/高域ドライバー40Wのバイアンプ仕様を採用し、計90W出力を実現した高効率・低歪率のClassA/Bアンプを搭載している

AKAI professionalブランドといえば、アナログシンセサイザーやサンプラーなど、往年の名機の姿を思い浮かべる人も多いと思うが、現在はニュマークジャパンの1ブランドとなり、MPCをはじめ、キーボードなどの電子楽器系をメインにラインアップしている(AKAI professionalの詳細はこちら)。サウンドクオリティの高さ、使い勝手の良さが好評を博し、プロ/アマチュアを問わず人気が高い。独立メーカー時代のエンジニアがそのまま取扱いの「ニュマークジャパン」に在籍しているなど、これまで培ってきた“サウンドポリシー”がしっかりと継承されているためだ。ただブランド名を引き継いだだけではなく、今でもオーディオブランドとしての確かな魅力を持ち合わせている。そんなAKAI professionalから、新たに登場したパワード・モニタースピーカーが「RPM500」「RPM800 LE」である。

RPM500

RPM800 LE

「現代音楽を正確に再生するため設計された」という「RPM500」「RPM800 LE」だけに、基本的なシステムはスタジオモニター然とした内容だ。まず、設置のシチュエーションに合わせて、低域カットオフや中域ブースト、高域音量コントロールなどサウンドバランスのカスタマイズが可能。入力としては、XLRと1/4インチTRS、RCAの3つを用意。サイドパネルを斜めにカットし、ピアノフィニッシュ調の仕上げを施したフロントパネルと組み合わせるなど、外観は上品なイメージにまとめ上げられており、自宅のリビングやデスクトップなどにも、最適である。

表面バッフルの中央部には「AKAI PROFESSIONAL」のブランドロゴが光る。1インチMDFと0.75インチMDFを筺体の材質に使用している。表面は黒のラッカー仕上げとなっている


入力端子には、RCA×1系統、XLR1×系統を装備する。ボリュームコントロール、バスレフポートも背面部に設置している

背面部には、設置場所・環境によって適した周波数カーブの調整が可能な近接コントロールスイッチ「PROX.CONTROL」、「LF CUTOFF」「MF BOOST」「HF TRIM」などのEQコントロールスイッチも搭載した

音質についても徹底的にこだわっているのが「RPM500」「RPM800 LE」の特徴だ。フロントバッフルは、1インチ厚のMDF素材と一般的なスピーカーとしては、あり得ない厚みを採用。この恩恵もあってか、シルクドーム・トゥイーターはホーンガイドが付けられている。これに組み合わせられる“赤い”ウーファーユニットは、振動板にケブラー素材を採用。口径は、「RPM500」が5.25インチ、「RPM800 LE」が8インチとなる。さらに、それぞれのユニットをバイアンプ駆動することで歪みのない、正確なサウンドを再現する。

トゥイーター部には、1.25インチのシルクドーム・トゥイーターを搭載。アンプの高域ドライバー40Wに対応する

ケブラーコーンの採用により反応速度の速い低域再現を実現した5.25インチウーファーを搭載している。低域ドライバーは50Wとなっている
 
歪みのないダイレクトな音
音楽性豊かな抑揚感を描く


確かに、サウンドクオリティに関しては両方とも十分なレベルを確立している。まず「RPM500」は、歪み感の少ないダイレクトなサウンドが特徴。音のひとつひとつが明瞭で、生バンドの演奏などは、とてもリアルに感じられる。ボーカルが熱気ある歌声を披露してくれる。適度な湿度感と共に、圧倒的なパワー感が感じられるため、ハツラツで活き活きとしたリアルな歌声が堪能できるのだ。音色も正確な表現を持ちつつも、音楽性豊かな抑揚感の高いサウンドを聴かせてくれる製品は多くない。

しかも、「RPM500」のペアで5万円強と言う価格は驚き。圧倒的なコストパフォーマンスの高さだ。もし、リビングなどスペース的に余裕があれば「RPM800 LE」という選択肢も魅力的だ。「RPM500」に対してさらに歪み感がなく、きめ細やかなサウンドへとグレードアップ。クラシックなども存分に楽しめる。

RPM800 LE(¥35,047・税抜/1本)RPM500よりも一回り大きなサイズの「RPM800 LE」をラインアップ。1.25インチトゥイーター/8インチウーファーを搭載し、低域ドライバー80W/高域ドライバー40Wの計120Wの出力アンプを搭載しているモデルだ

このように「RPM500」「RPM800 LE」は、モニタースピーカーならではの正確さに加えて、音質面での圧倒的なコストパフォーマンスを持ち合わせている。センスのよい外観も含め、デスクトップ環境で積極的に活用したい良質な製品だ。

こちらにも注目!
「AKAI professional / M-Audio モニタ・スピーカについて語る」野村ケンジ氏
【問い合わせ先】
(株)ニュマークジャパンコーポレーション
TEL/03-6277-2231



【SPECIFICATION】

<RPM500>
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:トゥイーター→1.25インチ(約31.7mm)/ウーファー→5.25インチ(約133.3mm) ●クロスオーバ一周波数:2.6kHz ●感度:92dB (100mV) ●周波数帯域:50Hz〜30kHz ●S/N比:97dB ●入力インピーダンス:XLR→20kΩ/RCA→10kΩ ●アンプ出力:LFドライバー→50W/HFドライバー→40W ●入力端子:XLR/RCA ●外形寸法:約190W×330H ×230Dmm ●質量:約8kg

<RPM800 LE>
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:トゥイーター→1.25インチ(約31.7mm)/ウーファー→8インチ(約203.2mm) ●クロスオーバ一周波数:2.7kHz ●感度:95dB (100mV) ●周波数帯域:38Hz〜30kHz ●S/N比:97dB ●入力インピーダンス:XLR→20kΩ/RCA→10kΩ ●アンプ出力:LFドライバー→80W/HFドライバー→40W ●入力端子:XLR/RCA ●外形寸法:約280W×432H ×330Dmm ●質量:約14kg


(レビュー執筆:野村ケンジ)

本記事は、月刊『AV REVIEW』2014年9月号からの転載です。AV REVIEW誌の詳細はこちら

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