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シンプル構成の全録レコーダー

【編集部レビュー】東芝のレグザサーバー入門機「D-M430」で初めての“全録”生活

公開日 2014/07/03 10:36 編集部:小野佳希
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宅外からのリモート視聴などと並び、近年のテレビ番組録画におけるキーワードのひとつになっている“全録”。民生用機器としてその全録に先鞭を付けた東芝“レグザサーバー”の入門機「D-M430」を自宅で使ってみた。記者にとって、自宅で全録レコーダーを使うのは初めての経験だ。

D-M430

■“レグザサーバー”ラインナップ − 3波チューナー8ch全録から地デジのみの入門機まで

“レグザサーバー”は、全録機能「タイムシフトマシン」を搭載するHDDレコーダー。通常のレコーダーのように好みの番組をユーザー自身が選んで録画予約するのではなく、例えば「NHK総合と民放キー局での放送を朝から晩まで全部」などといったように丸ごと録画しておく。“タイムシフト”という名称の通り、番組表を選んでリアルタイムに視聴するかのような体験を後から行えるわけだ。

ちなみに、レグザサーバーのシリーズラインナップは下記の通り。モデルによっては全録用と通常録画用にそれぞれ別のチューナーを搭載しているものがあり、例えばフラグシップ機「DBR-M490」では、全録専用の6chに加えて、全録に使うか通常録画に使うかを選択できる2ch分を全録用に回せば最大8chを全録できる。

型番HDD容量チューナーチューナー数BD/DVDドライブ
DBR-M4905TB地デジ/BS/110度CS
全録専用×6ch
通常録画専用×1ch
全録・通常録画選択用×2ch
あり
D-M4702TB全録専用×6ch(※地デジのみ)
全録・通常録画選択用×1ch(3波)
なし
DBR-T4602TB全録・通常録画選択用×3chあり
DBR-T4501TB
D-M4301TB地デジ全録専用×6ch
なし


今回とりあげる「D-M430」はシリーズの入門機という位置づけで、録画機能をタイムシフトマシン機能のみに絞ったり、チューナーも地デジのみ、BDドライブも非搭載にするなどシンプルな構成を採用。ユーザーが任意に選択した地デジ6ch分の番組を最大約3.5日間分録画することが可能だ。

背面端子部

■初期設定ではどんなことを決める?

今回のテストでは、記者が自宅で使っている他社製の液晶テレビに本機を接続。念のために付け加えておくと、HDMI CEC機能は他社製テレビでも利用可能で、初期設定時に登録しておけば、本機のリモコンでテレビの音量操作などを行えるようになる。

本機のリモコン

東芝製以外のテレビも操作可能

テレビと接続後、まず最初に決めることになるのが「どのチャンネルを、どの時間帯で録画しておくか」という設定。例えば東京での地デジ放送局は、NHK総合とEテレ、民放キー局が5局、そしてTOKYO MXの合計8チャンネル。本機は地デジ6chの全録対応ということなので、ここから2chを外すという選別が必要になるわけだ。

録画するチャンネルを選択。あえて3ch分しか録画せずにHDD容量を確保するなどという選択も可能

また、録画する時間帯も自分で選択可能。例えば「ワイドショーと再放送ドラマばかりの昼から夕方は録画しない」などといったように設定し、その分、全録できる日数を伸ばすといった使い方ができる。また「平日は全録をオン、土日はオフ」などのように、曜日ごとの設定も可能だ。なお、システムメンテナンスのために1日のうち1時間、録画できない時間が存在するが、この1時間をどこに割り当てるかも自分で設定できる。

全録する時間帯も自分で細かく選べる

今回はゴールデンタイムから深夜帯を全録対象時間に選び、録画時間を延ばす作戦をとった(「徹子の部屋」など、後から話題を集める可能性が高い番組がある昼時間帯を切るかどうかは結構迷ったが…)。

録画時の画質は「AVC高画質/AVC中画質/AVC低画質」の3種類から選択可能。AVC高画質で6ch分を全時間帯録画した場合で約1.5日、中画質で約2日、低画質で約3.5日の全録が可能だ。なお、別途USB-HDDを接続すれば録画可能時間を延ばすこともできる。

3種類から録画画質を選択可能

■画質や使い勝手は?

記者の場合、きちんと観たい番組は元々持っているレコーダーで毎回録画をしているため、レグザサーバーでの全録は「話題になったのに自分は見逃した番組」を後からチェックしたり、「まだ知らないけど実は自分の好みに合う番組」を探すことに主眼を置いた。そのため、話題になる番組が多そうなゴールデンタイムから深夜を中心にし、低画質録画を選んで、なるべく長い期間録画できるようにした。

低画質で録画した番組をチェックしてみたが、スポーツなど動きの速い映像や、シビアに画質を追求したい映画などのコンテンツでなければ、充分鑑賞に堪えられると感じた。自分の目的に沿った割り切った使い方ならアリだろう。

なお、記者はもともと「平日に撮りためておいた番組を週末にまとめて消化する」というスタイルのため、低画質モードで対象時間を絞った録画設定にしても、録画できる時間が少々足りないと感じた。前述のように外付けHDDの接続に対応しているため、記者のような視聴スタイルの方には、できれば別途USB-HDDを用意することをオススメしたい。

ちなみに、通常のレコーダーでは再生が終わるとメニュー画面に戻るのが一般的だが、本機ではそのまま次の番組が再生される。これはリアルタイムでテレビをつけっぱなしにしているのと同じ感覚で、まさに“タイムシフトマシン”視聴だと思わされた。

通常のEPGから番組を選ぶような感覚で録画番組を選択できる

なお、本機は1TBのHDD容量を、全録用に875GB、番組保存用に125GBというように区切っている。タイムシフト録画では新しいデータがどんどん上書きされていくため、「観たい番組が録画されているけどすぐに観る時間はない」といった場合に、保存領域へと番組をコピーしておけるわけだ。

再生に際しては、視聴履歴からユーザー好みの番組をレコメンドする「ざんまいプレイ」も利用可能。同じジャンルや共通点のある番組を表示する「ほかにもこんな番組」、クラウド上の集計データをもとに人気番組をオススメする「みんなのおすすめ番組」などといった機能を利用することで、新たな番組との出会いを手伝ってくれる。

「ざんまいプレイ」などの機能も利用可能

好きな芸能人の名前やジャンルなどを事前に登録しておくのではなく、「好き勝手に録画を再生していたら全く意図していなかった番組をオススメされる」というのは、全録ならではの楽しみ方だろう。

あえて難点を挙げるとすれば、全録という仕様上、常に録画動作が行われているので、静かな環境では動作音が気になる人もいるかもしれないということだろうか。とは言え、録画番組の視聴や音楽鑑賞などの妨げになるレベルではもちろんない。

そのほか、ディスクドライブ非搭載としたことなどによって実現した筐体のコンパクトさも魅力だ。BDレコーダーにAVアンプ、そしてスカパー!チューナーがすでに陣取っていた我が家のAVラックの僅かなスペースにも、なんとか収まってくれたからだ。

地デジチューナーのみというシンプルさがかえって分かりやすさにつながっており、上記のようなコンパクトさ、そして5万円ちょっと(記事執筆時点ではネット通販で3万円台で販売するショップも見つかった)という手頃な価格も相まって、まさに全録入門機としてはうってつけと言える。全録生活を始める“はじめの一歩”として、検討する価値は十分あると感じたテストだった。

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