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JVC「EX-N70」レビュー - 木の振動板を使った“ハイレゾ対応コンポ”の実力チェック

2014/03/18 鈴木裕
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JVCブランドから登場した“ウッドコーンオーディオ”シリーズの最新モデル「EX-N70」は、同シリーズの特徴である“木の振動板”を採用したスピーカーに加え、初めてネットオーディオにも対応したのが特徴だ。DLNA1.5 規格に準拠したネットワークプレーヤー機能を搭載し、パソコンやNASに保存した数多くの音楽コンテンツを再生。さらに、2.8MHzまでのDSD、192kHz/24bitまでのPCM再生に対応している。


EX-N70
アンプにはそのハイレゾの情報量を表現するためリファインしたデジタルアンプ「New DEUS」を搭載。また、同社オリジナルの音質補間技術であるK2テクノロジーもブラッシュアップして搭載されており、圧縮音源やCDからリッピングしたデータだけでなくハイレゾ音源に対してもK2処理を行うことができる。

アンプにはデジタルアンプのNew DEUSを搭載。JVCの独自技術であるK2テクノロジーもブラッシュアップして採用している

レシーバー部の背面部

コントロール用には、付属のリモコンのほか、iOS/Android専用アプリ「JVC Audio Control WR2」を用意。手元のスマートフォンやタブレットをリモコン代わりに使うことができる。さらにK2テクノロジーのON/OFFなどの操作もできるほか、スマートフォンの中の曲も本体でワイヤレス再生可能だ。

スピーカーは驚くほど様々なところまでこだわりが詰めこまれた造りだ。トゥイーターとウーファーの振動板にはもちろんウッドコーンを採用。ウーファーの背面にはチェリー材のシートを十字に装着することで、音の伝搬速度を上下左右方向に高めている。

EX-N70のスピーカーは2ウェイ構成。トゥイーターもウーファーも、振動板には木を使っている

ウーファー振動板の背面にはチェリー材のシートを十字に装着。音の伝搬速度を上下左右方向に高めている。

加えて、ウーファーユニットの磁気回路の背面に8角形のチェリー材ウッドブロック材を装着。さらに、ウーファーの磁気回路の内部、銅キャップの部分にはメイプルの木片を、トゥイーターのドーム振動板の内側、ポールピースの上部にはスプルース材を貼るなど、厳選した木材を惜しみなく使用して音質向上を追究している。

トゥイーター/ウーファーともに、ユニットの磁気回路後部に八角形のチェリー材ブロックを装着。不要振動を吸収し解像度向上を図ったほか、重量を加えることで低音の重心を下げることを狙っている。

バスレフポート周辺にはフェルトを配し音を調整。

エンクロージャーは、内部にチェリー材製響棒と竹の響板を配置している。この響板は繊維の方向が外側向きのパーツ4つと、フロント向きのパーツ1つ、合計5つを2層に重ねた複雑な構造のもので、エンクロージャー内部の底板部分に配置されている。これにより音場感やスケール感が飛躍的に向上するという。さらに吸音材としてメイプルの木製チップを袋に入れてある。非常に徹底的にこだわって作られていることがお分かりいただけただろう。

キャビネット内部には竹の響板とチェリー響棒を配置。吸音材としてメイプルの木製チップを袋に詰めて入れるなど、非常にこだわった作りだ

試聴レビュー:
ハイレゾ再生力と趣味性の高さを兼ね備える


NASに入れた音楽ファイルを聴くと、音像の実体感が強く、コンサートホールやライブハウスの空気感が濃厚だ。ポップスでもクラシックでも背景の静かさ、S/N感がいいが、そこに中域の存在感高く音楽が描かれる。ヴァイオリンコンチェルトでの高域の伸びはいいが、爽快に伸びるというよりも濃い音の中に塗り込められている。音の分解能や粒立ちの良さをこれみよがしに聴かせてくれる方向ではないが聴こうとすれば見えるタイプ。音の滑らかさや、歌の湿りけなどの表現が上手で、クラシックやボーカルものでの適性が高い。

またジャズのウッドベースのコクのある鳴り方も魅力的だった。K2テクノロジーを試してみると、OFF時の音の輪郭を強調する感じや高域にあった若干のハーシュさがONではなくり、またハイレゾ音源でも空間の見通しが良くなったり、響き成分のきれいな飛び方が確認できた。

USB 1の端子に音楽ファイルの入ったUSBメモリーをダイレクトに差して再生してみると臨場感や実在感がさらに高まり、音の鮮度も向上。再生の難しい音色の再現性や空間の透明度の高さなども印象的だった。iPhoneに専用のコントロールアプリを入れて操作したが、反応は悪くなく、見やすい操作画面だった。

EX-N70はハイレゾの情報量を生かせるハイファイ性能と趣味性の高さを持ったシステムコンポーネントと言えるだろう。

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