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【特別企画】5.6MHz DSDや384kHz/32bit PCMにも対応

B.M.C.「PureDAC」レビュー − バランス駆動ヘッドホンアンプ搭載の注目機

2014/03/14 野村ケンジ
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「PureDAC」は、ライン出力だけでなく、ヘッドホン出力にもバランス駆動(4pinXLR方式)が用意されている点も注目だ。もともとB.M.C.というブランド名は、「バランスド・ミュージック・コンセプト」の略ということで、バランス出力に関してはかなりこだわっている様子がうかがえる。本機のヘッドホン端子にバランス駆動出力が用意されているのも、単なる流行というだけではなく、こういった根本からのこだわりがあってのこと。その点からも、サウンドクオリティについても大いに期待が持てる。

ちなみに、DACという製品コンセプトからすれば当然だが、「PureDAC」に用意されている入力はUSBと光デジタル、同軸デジタル、AES/EBUという4系統のデジタル入力のみとなっている。ライン出力はバランス1系統、アンバランス1系統となる。


本体上面部

背面端子部
USB入力については、最高384kHz/32bitまでのPCMと、5.6MHzまでのDSDに対応している。最新のハイレゾ音源ばかりか、未来に登場するであろうさらなるハイスペック音源も、ネイティブで再生することが可能だ。移り変わりの激しいデジタル周辺で、将来まで見越したハイスペックを持ち合わせてくれているのは嬉しいかぎり。ライン出力はボリューム可変で、かつデジタル入力も豊富であり、単なるDACではなくデジタルプリアンプとしても大いに活用できそうだ。


本機のリモコン
■まずはライン出力のサウンドを検証

さて、それでは実際のサウンドを聴いてみよう。まずはライン出力からだ。今回は一般的な導入環境に配慮して、DIGMによるアドバンテージが享受できる同社製パワーアンプはあえて用意せず、筆者宅の試聴システムであるプリメインアンプAura「Vita」とバランス出力で接続し、さらにスピーカーはELAC「BS312」を組み合わせて試聴を行った。

なんというフォーカス感の高い音なのだろう。S/N感がとてつもなく良好なうえ、ダイナミックレンジの振り幅がとてつもなく大きい。余計な付帯音もいっさい感じられず、ダイレクト感の高い、とてもピュアなサウンドが楽しめる。特に感動したのが、溝口肇「亜麻色の髪の乙女」のチェロ(DSD5.6MHz音源)。ボーイングの響きがダイレクトに伝わると同時に、ボディの響き、そしてフロアに広がっていく様子と、すべてが何も間隔たりもなくしっかりと伝わってくる。おかげで、細やかな表現まで一切を感じ取ることができ、結果として演奏に込めた感情まで伝わってくる。それほどまでに「PureDAC」のサウンドはクリアで、ダイレクト感が高い。

また、32bit対応も伊達ではない。nano.RIPEによる「影踏み」の24bit音源と32bit(float)音源をきちんと描き分けてくれた。32bit(float)では階調の細やかさが増し、演奏の強弱がしっかりするため、表現が一段と豊かになったように感じられるのだ。

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