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【特別企画】音質向上コンポーネント『Wind Bell』徹底解剖

“音質向上コンポーネント”『Wind Bell WB-30』の効果を林 正儀が試す

2013/11/20 林 正儀
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■「前代未聞で画期的ともいえる内容と音質改善のパフォーマンス」


数えきれないほどインシュレーターを聞いてきた私だが、"Wind Bell”「WB-30」は前代未聞で画期的ともいえる内容と音質改善のパフォーマンスをもつアイテムである。

振動のプロ集団、特許機器株式会社が手がけた初のオーディオ製品が本品「WB-30」で、タイプとしてはスプリングを仕組んだフローティング構造。ユニークなのは、そこに「風鈴」と呼ばれるスリーブが被せてあり、そのトータルで機器の振動をコントロールしようという着想だ。「風鈴」は素材を吟味した真鍮で、上部は滑り止めのサンドブラスト仕上げ。形状やサイズなど先端のCNC技術で加工されたものだ。

WB-30。「オーディオアクセサリー銘機賞2014」で特別賞も受賞している

指で弾くと、「チ〜ン」と澄みきった音がする。余韻やゆらぎがきれいで、この響きは何かチューニング効果を高めてくれそうな予感である。直感的にそう感じたとおり、この仕組みはスプリングによる低域の振動遮断と、高域のサウンドチューンを併せ持つものだった。

上部のスリーブを指で弾くと風鈴のように澄んだ音が鳴る

もう少し詳しく見よう。すごいことがふたつある。まずベースとなる低域の遮断能力だが、金属など一般のハード系インシュレーターに比べるまでもなく、-30dB(1/30以下)という強力なものだ。このため混変調歪みがなく、特殊なサージング防止部材が装着されているために妙な共振ピークもない。

もうひとつが「風鈴効果」と呼ぶ、チューニング作用だ。床面から完全に浮いた状態で、スピーカーからの音楽振動(音楽によって振動する)を受けると、源音をアシストするように風鈴が共鳴する。理論解析でも実測でも証明ずみだが、本機ではボーカル音域の3,800Hzに設定してあり、さらにその倍々の高いハーモニックス領域まで美音が重畳され、「風鈴効果」が及ぶわけである。

こうした高周波域の振動はスプリングコイル内を通過するという。有害な低周波振動をカットして、おいしい高音域のみをハイパスさせる、魔法のフィルターといえるだろう。この不思議なふるまいについて、同社スタッフから「Wind Bell」のCG解析画像を見せてもらったが、その効果がハッキリと理解できた。一次共振の3,800Hz以下ではピクリとも動ない(完全遮断)のだが、それ以上の音楽振動に対しては生き物のように共鳴して動く。まるでダンスをしているようだ。-30〜40dBというごくごく微細なレベルだが、このチューニング作用は耳からウロコの未体験ゾーンである。

サージング現象防止技術を施したスプリングが内部にしこまれている

では、スピーカーの天板に乗せたらどうだろうか。この場合は振動を下から受け、風鈴はフリーに共鳴できるから、スーパートゥイーターを加えたような高域伸長の効果が味わえるはずだ。また振動の遮断効果のみが欲しいのなら、逆さまの状態で製品を使うものよさそうだ。リバーシブルに使えて、トゥイーター的なエフェクトも有するアイテムはかつてなかった。

製品の感触を確かめる林氏

■様々な使い方で製品の実力をチェック


■標準的な使い方で試す

まずスピーカーの下に4点支持で「WB-30」をセットしてみると、あまりの変わりように身を乗り出したほどだ。ベースやバスタム、ピアノの左手など、低音域の濁りがスーッと消え、床からの反射がカットされていることがわかる。もやつきのない、ぐんと沈み込む低音表現であり、レンジそのものも伸びたような感触だ。アタックが明快でキレがよく質感も一層ナチュラルである。音の土台からグレードアップされ、ファンダメンタルの表現力が俄然高まっていることが実感できた。

スピーカーの下へ4点支持で製品を設置

これはベーシックな性能だが、それ以上に感嘆したのが「風鈴効果」による、声や、その音場の瑞々しさだ。シャンティの輝くようなボーカルが、明瞭に粒だちながら空間に溶け込んでいる。モーツァルトなどの管弦楽も響きが絶妙にしなやかで、シルクの光沢を放つ。消えぎわのきれいさはピカイチだ。これは倍音をたっぷりと含み、まるでホールにいるような錯覚。個々の楽器を指させるように定位が鮮明で、さらにステージの広がりだけでなく、遠近や高さの描写まで格段にリアルに感じられた。ソースはCDだが、ハイレゾ音源を聞くような超精密な空間表現は初体験といっていい。

■逆さ使いはどうか?

逆さ使いではどうか。風鈴が床側だと、確かにその倍音効果は薄まるようだ。余韻や雰囲気感などはさっぱりめで、通常CDのレガシーな印象だ。それだけピュアにコイルバネの御利益を享受できるわけで、よりオーディオっぽいというか、メリハリ指向のクッキリとした音調と感じられた。ダンピングの効いた楷書的なタッチの思いきりのよい表現で、ジャズの飛び出すようなダイレクト感も味わえる。

■スピーカに乗せてみる

これは、メカニカルトゥイーター効果といおう。WB-30をスピーカーに乗せると頭上がすっとオープンになり、高域情報が溢れ出すようで、ワイドな空間が出現する印象である。筆者の経験からも、上質なスーパートゥイーターを付加すると不思議だがボトムが俄然力強く中音域まで潤いが増して、全体のサウンドイメージが生々しい方向に変化していた。ライブ感たっぷり。音ヌケがよく、演奏者や会場の熱気まで伝わるようで、それと似たような効果がここで得られたのは感動ものだ。風鈴パワー全開となる印象である。

こうなるとただのインシュレーターではない。新時代のチューニングアイテムであり、振動を知り尽くした特許機器だからできた、発明品といえるだろう。

■スピーカー以外の製品でも効果を発揮

また、「WB-30」はスピーカー以外の製品でも効果を発揮する。実際にアナログプレーヤーの下にセットしてみると、まず回転が滑らかになり、ノイズフロアが下がった印象だ。ハウリングなどはもちろん皆無。サウンドはトレース能力が高まったかのように解像力や立体感が増して、ピアニッシモがふわっと浮かび上がる。ボーカルのニュアンスが一層生々しく、またベースやピアノなど、腰の座った安定度の高まりも見事なものだ。優秀録音盤はさらに鮮度感がアップして、アナログ盤らしいみずみずしさや音色の暖かみが感じられた。アナログユーザーには、ぜひ本アイテムがお勧めである。

アナログプレーヤーなどスピーカー以外の機器にも効果を発揮

もちろんCD/SACDプレーヤーなどの回転機器やアンプ、ネットオーディオ機器にも幅広く使えて、その可能性に個人的にもワクワクしてしまう。

今後の展開としては、WB-30を起点として、耐荷重の異なるラインナップを順次投入する。機器の脚にWind Bellを直結するハイエンドモデルも予定されているのはオーディオファイル冥利に尽きるというもの。これは試すしかないだろう。

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