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【特別企画】創業60周年記念モデルを徹底レポート

マランツのUSB-DAC/ネットワークプレーヤー「NA-11S1」を山之内 正が聴く

2013/02/21 取材・執筆/山之内正
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■「NA-11S1」のパフォーマンスを試聴する
ネットワーク再生では今まで未体験の
ダイレクト感やリアルな感触を堪能


実際に音を聴いてみることにしよう。まずはQNAPのTS-119からハイレゾ音源を読み込む。ウェーバーのクラリネット協奏曲(FLAC192kHz/24bit)はスコットランド室内管弦楽団の演奏で、同団の首席奏者が独奏を盤石のテクニックと豊かな表情で自在に吹きこなしている。オケの演奏もその活発な動きに一歩を引けをとらず、すべてのフレーズに生命感が宿って元気いっぱい。その表情を曇らせる要素はどこにも見当たらず、澄み切った音場と立体的なステージが目の前に広がるが、そこにはディスク再生では体験したことのないダイレクト感があって、ステージに数歩近付いたようなリアルな感触をたたえている。ノイズから開放されるというのはこういうことか! と聴き手を納得させるサウンドだ。

「Marantz Remote App」で操作を行う山之内氏。使い勝手の進化も本機の魅力といえるだろう

今回の試聴は(株)ディーアンドエムホールディングスのマランツ試聴室にて行われた。プリアンプとパワーアンプは同社の「SC-7S2」と「MA-9S2」(2台)で、スピーカーはB&Wの「800Diamond」を組み合わせた

ジョニ・ミッチェルの『BothSidesNow』は一音一音の洗練度が高く、ピアノやストリングスがここまで鮮度の高い音で入っていたことにあらためて気付かされた。ボーカルはどの音域にも力みやストレスがなく、発音のスムーズな感触は文字通りマスターの音を思い出させる。小音量で聴いても実在感はまったく弱まることがないが、それとは逆に音量をどんどん上げても耳に付く硬さが現れず、アンプやスピーカーの限界まで質感を失わない。このクオリティのソース機器が出てくると、アンプやスピーカーの設計目標や評価基準はまったく変わってしまうに違いない。それほどインパクトのあるサウンドである。LAN再生では「Marantz Remote App」からの操作レスポンスが良好で、使い勝手の進化も著しいと実感した。

USBでも圧倒的なクオリティを体感
他の追随を許さない高水準なサウンド


圧巻はUSB DACのクオリティ感の高さだ。特にDoPによるDSD音源の圧倒的情報量と迫真のリアリティは他の追随を許さず、情報量、ダイナミックレンジ、S/Nいずれをとっても極めて高水準のサウンドを引き出す。ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団のショスタコーヴィチは彫りの深い音像表現と限界を感じさせない空間描写においてSACDと双璧をなし、SA-11S3の完成度の高い再生音と高次元で拮抗する。5.6MHzの音源はこれ以上はないというぐらいのスムーズなテクスチャーをピアノトリオの演奏から引き出し、静寂と緊張感に包まれた音場の広がりを階調豊かに描写してみせた。USBオーディオの潜在能力が実はこれまで考えていた以上に高いという事実を垣間見せる音である。

本機はネットワーク再生とUSBオーディオの両分野でこれまでの評価基準の見直しを迫るほどのポテンシャルを有している。これほど豊かな刺激を与えるコンポーネントに出会ったのは久々のことだ。


PRESENTED BY
(株)ディーアンドエムホールディングス

【問い合わせ先】
D&Mお客様ご相談センター
TEL/0570-666-112
http://www.marantz.jp/

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