MUSIC BIRDは「高いポテンシャルを秘めている」

【レビュー】音楽専門衛星デジタルラジオ「MUSIC BIRD」の魅力とは? 山之内正が“高音質な”新チューナー2機種を体験

山之内 正

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2012年09月06日

音楽専門の衛星デジタルラジオ「MUSIC BIRD(ミュージックバード)」。標準モデルよりもさらに音質にこだわった同サービス用チューナー2機種が新たに登場する。その新チューナーの実力に山之内正氏が迫った。
■再び注目を集める“音楽専門”衛星デジタルラジオ

生活と音楽が切り離せないという熱心な音楽ファンにとって「MUSIC BIRD」は心強いパートナーだ。最大156チャンネルという豊富な選択肢のなかから好みの専門チャンネルを選ぶだけで、一日中好きな音楽に浸ることができる。その心地よさに慣れてしまうと、MUSIC BIRDのない生活にはもう戻れないという声も聞く。そんな音楽専門の衛星デジタルラジオが、いま再び注目を集めている。

MUSIC BIRDはCS-PCM放送として長い間親しまれてきたが、昨年以降は同一の通信衛星(JCSAT-2A)を使用する衛星ラジオ放送として生まれ変わった。音声形式は48kHz/16bitのMPEG1 Layer 2を採用しており、最大で256kbpsのビットレートを確保して高音質伝送を実現している。

PCMではなくなってしまった点は少し残念だが、圧縮音源としてはかなり高レートであることと、本質的な音質改善を図った高音質版の新チューナーを複数用意することで、従来のPCM放送に迫る音質を狙っている。再び注目が集まり始めていると書いたのは、まさにそこに理由があるのだ。その詳細は後で紹介することにし、まずMUSIC BIRDの概要を振り返っておこう。

受信には専用アンテナとチューナーが必要だが、その前にアンテナの設置場所を確保できるかどうか、確認しておくことが肝心だ。衛星の方向は南南東、晴天時の午前10〜11時の間に太陽が見通せるかどうかが目安になる。BSアンテナよりも70〜80度ほど東側になるので、その方向に建物や立木などの障害物がないことを確認しておこう。

MUSIC BIRDのアンテナ

標準チューナー

衛星ラジオ放送のサービスに加入する際は、ジャズやクラシックなどジャンル別の専門チャンネルをひと通りカバーする「50チャンネルパック」で契約することをお薦めする。J-POPやワールドミュージックなど多様なジャンルが揃っているうえ、専門チャンネルには他のメディアでは聴けないライヴ音源や、発売されたばかりの新譜をたっぷり楽しめるオリジナルプログラムも用意されている。

チャンネル一覧はMUSIC BIRDのホームページ(http://musicbird.jp)で確認できるので、参考にしていただきたい。ちなみに同サイトのトップページには選択したチャンネルで現在放送中の曲がリアルタイム表示されるので便利だが、もちろん詳細な番組一覧表や放送予定曲の一覧も別途用意されている。

公式サイトのトップページ

オンエア中の楽曲をすぐに確認可能。もちろん今後の放送予定などを番組表で確認することもできる

■新たに2機種の高音質チューナーを用意

さて、注目の新チューナーは2機種用意されているので順番に紹介していこう。最初は標準仕様のチューナーと同一の筐体を採用したニュースペースデザイン(AUDILLUSIONソリューション)社製の「NSD-100A」(メーカー公式情報ページ)。外見は標準チューナーとほとんど変わらないが、デジタル出力を省略したアナログ出力専用機で、まずはDAC部の電源回路に着目、シャントレギュレータを用いた定電圧電源回路に変更するなど、アナログ回路を中心に大胆な改良が行われている。

NSD-100A(参考売価49,800円/税込)

山之内氏の自宅に設置された実機

さらに、最終段のオペアンプをナショナルセミコンダクタのLM4562に変更したことも音質に大きく貢献するという。オペアンプでありながらディスクリート構成に近い特性が得られ、情報量の点で有利なのだという。

背面端子部

内部の様子

標準チューナーの再生音はレンジ感を欲張らずに聴きやすいバランスにまとめたもので、それだけを聴いている限りは大きな不満はない。ただし、編成の大きなオーケストラや近代のピアノ曲を聴くと、低域の厚みや中高域の粒立ちなど、オーディオ的視点で見た時の不満が顔をのぞかせることはたしかだ。

NSD-100Aに切り替えると、音の立ち上がり時に気になっていた僅かな緩みが改善し、アタックにほどよいエネルギーが乗っていることに気付く。ピアノを聴き込んでいるリスナーなら、旋律が標準チューナーよりも鮮明に浮かび上がり、高音部の音色に陰影が増していることも聴き取れるはずだ。

オーケストラは重心の高さにこそ大きな変化はないものの、弦楽器と木管楽器の遠近感など、ステージの臨場感が若干深みを増し、より立体的な音場が広がっている。256kbpsの音源とは思えないレンジ感や音色のなめらかさも聴きどころで、オリジナル仕様のチューナーとは明らかな違いを聴き取ることができた。

製品を確かめる山之内氏

ジャズのプログラムではベースのピチカートにスピードが乗り、音像が半歩ほど前に出てくる効果を確認した。ピアノは左手の音域の響きが標準チューナーよりもすっきりして、旋律を支える和音の重なり具合がよく見えるようになっている。

音の変化として現れる違いは僅かなものだが、音楽的な変化はけっして小さくないので、曲によっては演奏の印象さえ左右しかねない。長く聴き込むほどにじわじわと大きな差を生むような性格の差が確実に存在する。

ハイエンドオーディオ機器を思わせる作りの「C-T1CS」

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