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【レビュー】第3世代「iPad」の実力を検証 − Retinaディスプレイに死角はないか?

公開日 2012/03/16 16:28 編集部:風間雄介
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まず新ディスプレイの印象から先に述べると、9.7インチという画面サイズに、2,048×1,536ピクセルという、フルHDオーバーの画素が表示されているインパクトは想像以上に大きい。ディスプレイの技術展示会などでは見慣れた画素密度ではあるのだが、実際の製品として登場すると、あらかじめ想像していたよりもはるかに衝撃的だ。

第3世代iPadの画素をUSB顕微鏡で撮影。サブピクセルが右のiPad 2の4分の1程度に小さくなっている

同じスケールで撮影したiPad 2の画素構造

この感覚には覚えがある。iPhone 4は初めて「Retina」という名を冠したディスプレイを搭載したモデルだが、iPhone 3/3GSからiPhone 4へ進化したときと同様の感覚だ。iPhone 4/4Sの高解像度画面が、そのまま大きくなったような印象なのだ。

まだiPad向けアプリの多くが、このRetina Displayに対応していない現状では、解像度向上の恩恵を最も強く感じられるのが文字表示だ。iPad 2で見る文字は、ドット感を強く感じられるのに対し、第3世代iPadの文字は非常に滑らか。相当な至近距離にまで近づかないと、ドットが見えることはない。第3世代iPadの画面を見たあとでiPad 2に戻ると「こんなに粗かったっけ?」と思わず見直してしまうほどだ。

第3世代iPadで撮影した文字

iPad 2で表示した文字。拡大してその違いを確かめて欲しい

またGoogleマップなどを見ると、まるで印刷物が画面上に貼り付いたような感覚さえ覚える。画面解像度に対する感度はひとそれぞれだろうが、画質に興味がある方なら、この画面を見れば、きっと感銘を受けるに違いない。

さらに「ミュージック」アプリを立ち上げ、アルバムアート表示にしてみると、サムネイルの状態でアートの細かな部分までが見えることに驚かされる。とにかく、このディスプレイが持つ表現力の高さには圧倒させられるばかりだ。

さらにカメラで撮影した写真を見る際にも、この超高解像度がフルに力を発揮する。これまでは拡大しないと見えなかった細部までがすっきりと見通せるので、写真から受ける感動が明らかに高まるのだ。

写真を表示し、一部をトリミング。写真は第3世代iPad

こちらがiPad 2。画素がクッキリと見える

■色温度、彩度が異なるiPad 2と最新モデルのディスプレイ

iPad 2と第3世代iPadのディスプレイを比較してみよう。両機とも明るさ設定を最高にし、明るさセンサーによる輝度の自動調節はオフの状態で比較した。

一目で分かるのは輝度と色温度が異なることだ。輝度は第3世代iPadの方がiPad 2に比べて明らかに高い。また色温度も第3世代iPadの方が高めで、iPad 2に比べ青白く感じられる。

壁紙の色合いから、輝度と色温度がまったく異なることがわかる(奥はiPad 2、手前が第3世代iPad)

カラーバーを表示。左がiPad 2、右が第3世代iPad

彩度も総じて第3世代iPadの方が高く、原色は特に色鮮やかに表現される。とにかくiPad 2とはかなり異なる色合いで表示されるので、写真などのビジュアルの印象が大きく変わってくる。

左がiPad 2、右が第3世代iPad

左がiPad 2、右が第3世代iPad

もっともこの色温度や彩度については、第3世代iPadの液晶パネルベンダーが複数の場合、ベンダーごとに異なることも考えられる。第3世代iPadのディスプレイは、一説にはサムスンが製造していると言われているが、将来的に違うメーカーが新たに供給を開始する可能性も考えられ、もしそうなれば当然、特性の異なるディスプレイが搭載されることになる。

もともとiPhoneのディスプレイは、iPhone 3GS/4/4Sそれぞれで色温度が異なっていた。アップルは色温度などのディスプレイ特性について、それほど神経質ではないようだ。

なお視野角による色ズレは、もともとiPad 2のIPS液晶もほとんどなく優秀だったが、これは第3世代iPadも同様。第3世代もIPS液晶を採用しており、上下左右に視点を移動してみても高い視認性を維持している。

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