新製品レビュー

6,000台限定のアニバーサリー・イヤホン − JVC「HA-FXT90L2」を聴く

レビュー/高橋 敦
2011年10月24日

HA-FXT90L2
今回レビューする「HA-FXT90L2」は、株式会社JVCケンウッドとしての新体制が確立されたことを受けて、6,000台限定で販売される記念モデルのイヤホン。今春発売された「HA-FXT90」のバリエーションモデルだ。

ベースモデルからの変更点は、本体の「JVC」ロゴが刻まれているハウジング外装のメタルパーツと、編組ケーブルの外皮が“シャンパンゴールド”で仕上げられたこと。その他は大きく変更されてはいないが、改めてシリーズ共通のHA-FXT90の特長を確認しておこう。

メタルハウジングの外側にはJVCロゴをカッティング加工により配置している

左は同じく限定モデルとして発売されたレッド(現在は生産終了)


シャンパンゴールドの編組ケーブルを採用

スプリッターの部分には型番を配置
本機にとっての最大の特長はやはり、ビクター独自の技術による超小型5.8mm径ドライバー2基をメタルユニットベースに並列配置した、「ツインシステムユニット」に尽きるだろう。

2基のドライバーはそれぞれ中高域用と低域用として設けられている。帯域分割していない同一の音声信号を各ドライバーに送り込み、それぞれのチューニングの違いによって、中高域側と低域側の特性を向上させている。2つのドライバーの音の重なりを活かして、音の厚みを得ていることもポイントだ。


中高域/低域用2つの振動板を並列に配置したツインシステムユニットを採用
なおドライバーの振動板は、中高域ドライバーはPET素材にカーボンナノチューブをウェットコーティングした素材、低域ドライバーはカーボンである。

3サイズのイヤーピース、コードキーパー、クリップが付属する

こちらも付属品のキャリングケース

ピアノトリオ作品、Mathias Landaeus Trio「Opening」のピアノは、硬質でカチッと決まった音色だ。高域側ではシンバルも、薄刃でやはりピシッと決まっている。シンバルのその鋭利さは全体の精密感を高めてもいる。

ウッドベースは「重い」よりも「太い」という感触の方が強い。輪郭の太さではなく、音色の芯の自然な図太さである。ツインユニットの音が重なる中域の充実という本機の特色が、色濃く現れていると思える部分だ。

ドラムスもやはり同じように太く、シャープな高域とそれに拮抗する良質な低域によって、全体のバランスも好ましい。

やくしまるえつこ「ノルニル・少年よ我に帰れ」のエレクトリックベースも、密度が高く、弾性が強く、強烈なドライブ感。ボーカルの感触も含めて全体に湿度感は低め。削ぎ落された鋭さと骨太さでもって、ストイックな描写という印象である。

改めての確認となったが、やはり優秀なイヤホンである。いわゆる重低音サウンドとは違う、しかし強靭なベースは特に魅力的だ。この限定カラーモデルの登場で本機に注目した方は、ぜひそのサウンドにも注目してみてほしい。


【SPEC】●形式:ダイナミック型 ●出力音圧レベル:107dB/1mW ●再生周波数帯域:8Hz〜25kHz ●インピーダンス:12Ω ●最大許容入力:150mW ●ケーブル:1.2m Y型、ステレオミニプラグ L型 ●質量:約6.8g ●問い合わせ先:JVCケンウッド カスタマーサポートセンター TEL/0120-2727-87



高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。