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オリジナルアプリ「Denon Remote App」も使ってみた

デノンAVアンプ「AVR-3312」徹底攻略 − 【第2回】ネットワークオーディオ/サラウンド再生を究める

公開日 2011/07/08 10:00 ファイル・ウェブ編集部
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Blu-ray映画の5.1ch再生にも挑戦

ここまでAVR-3312の様々なネットワーク再生機能を紹介してきたが、最後にAVアンプを楽しむうえで基本中の基本である、映画のサラウンド再生の実力をチェックしておこう。デノンのBDプレーヤー「DBP-1611UD」、スピーカーシステム「55SGシリーズ」のフルセットをリファレンスに用意して、サラウンドのテスト環境を構築した。まずは映画BD『セブン』を試聴した。

デノンのBDプレーヤー「DBP-1611UD」

スピーカーは55SGシリーズをフルセットで用意した


AVアンプのメニュー画面から「オートセットアップ」(Audyssey Auto Setup)を選択

本体フロントのマイク入力に、専用のオートセットアップマイクを接続する


ナビゲーションに従いながら簡単にセットアップが行える

アンプに接続されているスピーカーを自動認識し、リスニングバランスも視聴環境に合わせて自動で最適化してくれる

土砂降りの雨の場面では、雨粒の大きさ、肌に当たると痛そうなその硬さの感触までを描き出す。その雨音に重なって場面の不穏さを強める重苦しい音楽は、適度な硬質さと抑えの効いた低音で怖さを増す。場面の緊迫感を良く引き出す好描写だ。

レストランでの会話の場面では、他のテーブルの会話や食器の音がごく自然に音場を満たしており、その場の空気感が豊かだ。スピーカーを同一シリーズに統一した効果も大きいだろう、前後左右のスピーカーの音のつなぎ目が気にならず、サラウンド音場の自然さは見事。映画サラウンド再生の実力も万全だ。


AVR-3312の5.1ch再生をテストする筆者

リモコンのメインボタンには蓄光成分を含むパーツを使用。部屋を暗くして映画を観る際にもハンドリングしやすいよう配慮されている
続いてライブBD『David Gilmour:Remember That Night』を試聴。名曲「Time」の冒頭ではSEのベルやチャイムの音がホールに鳴り響き、歓声がそれを迎える様子が、サラウンドを活かした広い空間で再現される。主役であるギターの音色も、歪んだ鈴鳴り感とでも言おうか、ギルモアにしか出せない美しさだ。ギターのピッキングの瞬間、ピックが弦に触れる、そのタッチも生々しく描き出される。他にもギルモアのボーカルの渋さ、ベースの安定感にドラムスのアタックの気持ちよさなど、この作品の聴き所をよく引き出してくれる。


アンプを上手に使いこなせば、これまでの音楽体験が一変する

デノンの「AVR-3312」で楽しむネットワーク再生を、前回のAirPlayを中心とした試聴から、今回のネットワークオーディオ再生まで、2回のレポートに渡って詳しくテストしてきた。ステレオ環境で楽しむオーディオや映画のBlu-ray再生にしても、本機は機能と音質の両面で現在最先端クラスのAVアンプであると言えるだろう。これまでパソコンの中にためてきた音楽ファイルを、より高音質な環境をつくって再生したいという方々にとっては、本機とお気に入りのスピーカーを揃えるだけで、これまでの音楽体験が一変するはずだ。

セットアップの手軽さについては、今回詳しく手順を追って紹介してきた通りだ。ぜひ各々の環境でも試して欲しいと思う。導入後の操作性については、AirPlayや「Denon Remote App」を活用することで、これまで製品付属のリモコンを使って行ってきた操作が、より直感的でシンプルなものになることが実感できるはずだ。既にiPhoneなどをお使いの方々ならば、使いやすいアプリによって、ライフスタイルが一変する感覚は体験済みかと思う。同様の体験が普段の音楽再生でも味わえるのだから、これはぜひチャレンジしてみたいところだ。いままでCDラックに置きっぱなしだったディスクを、改めてパソコンにリッピングしたり、いったんパソコンにリッピングした音楽ファイルを、より高音質な設定で取り込み直して聴いてみたくなるはずだ。それほどまでに、ネットワークオーディオを始めると多くの新しい発見がある。その扉を開いてくれるのがデノン「AVR-3312」なのだ。

ちなみに本機の弟機である「AVR-1912」も、AirPlayやネットワークオーディオ再生に関する機能はほぼ変わらない、充実した性能を備えている。音質面など再生クオリティに優れる上位機種を手に入れる前に、まずはスタンダードなモデルでネットワークオーディオを手軽に初めてみたいという方には、こちらのモデルもおすすめだ。一方で、書斎や寝室のサブシステムでネットワークオーディオを楽しみたい方には、一体型システムの「N7シリーズ」という選択肢もある。それぞれの用途や環境に応じてベストな製品を吟味しながら選んで欲しい。


AVR-3312」/¥131,250(税込) 7月上旬発売
【SPEC】●定格出力:125W×7ch(8Ω) ●実用最大出力:195W×7ch(6Ω) ●HDMI:入力7、出力2 ●消費電力:670W ●外形寸法:435W×167H×382Dmm ●質量:11.8kg ●問い合わせ先:ディーアンドエムホールディングス TEL/044-670-6612


airplay-shop



高橋 敦:プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

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