リニアPCMで録音、楽曲情報も自動取得
高音質PCM放送「ミュージックバード」を“PCMのまま”録音する2つの方法を試す
山之内 正
2008年11月21日
■楽曲情報も自動で取得してくれる
NAC-HD1の接続と設定はきわめて簡単だ。ミュージックバードまたはSPACE DIVAのチューナーと光ケーブルでつなぎ、NAC-HD1のアナログ音声出力をアンプにつなぐだけでよい。曲情報のデータベースはNAC-HD1本体にも保存されているが、インターネット経由で最新データを取得したい場合はLANにも接続しておく。ネットワークは基本的に自動検出だから特別な設定は不要だし、時刻情報もネットワーク経由で更新される。
録音モードをPCMに設定して実際に7chと8chの番組を録音してみる。この2つのチャンネルは情報量、ダイナミックレンジともにCDを聴いているのと変わらないのだが、それをNAC-HD1に録音した音も基本的には同等の質感をキープし、セパレーションの高さとレンジの広さはもちろんのこと、音場の遠近感や余韻の空気感もしっかり伝わってくる。そうした空間情報は圧縮によって失われてしまうことが多く、特にクラシックではガッカリさせられることが多いのだが、ミュージックバードについては、その点にまったく不満はない。
ジャズは1950年代後半の名盤から最新のリアルな音源まで、こちらも非常に鮮度の高いサウンドが楽しめる。NAC-HD1は重心が低く、音が痩せない点に良さがあり、クラシックはもちろん、ジャズとの相性もよい。
曲情報取得機能はCDからの録音時だけでなく、ミュージックバードなど外部入力の信号に対しても動作する。音楽信号の波形から曲を識別するため、ジャズの番組のように複数のアルバムから1曲ずつかけるようなケースにも対応するが、曲間が極端に短い番組の場合はトラック自動分割が動作しないこともあった。クラシックでは情報取得の確率はかなり上がり、精度も高い。曲名や演奏者の情報はミュージックバードのチューナーにも表示されるが、それと同じ情報が録音した曲を聴くときにも出てくるのは便利この上ない。これだけでもNAC-HD1を導入する価値はありそうだ。
■より低予算でデジタル録音するならパソコンを活用すべし
手持ちのパソコンを利用すればNAC-HD1よりも低予算でHDD録音ができるが、その場合はクリエイティブのDigital Music SXなど、USBオーディオ機器を介してオーディオ機器につなぐことで音質は劇的に向上する。パソコン内部でのD/A変換に比べてノイズの影響を受けにくいというのがその理由だが、それ以外にもいくつか見逃せないメリットがある。パソコンでの録音は操作が難しいという先入観があるが、Digital Music SXには使い勝手のよい録音ツール(ソフト)が付属しているので、従来に比べると敷居はかなり低いと思う。
パソコンにUSBでつないだDigital Music SXとチューナーを光ケーブルで接続し、デジタル入力を選択して録音ソフト(Smart Recorder)を起動。ウィザードの手順に従って操作すれば迷う心配はないし、アルバムの総演奏時間があらかじめわかっていれば、自動的に録音を停止することもできるし、トラックごとの自動分割も可能だ。
付属ソフトのMedia Toolboxを使えばインターネット経由での曲情報取得にも対応するが、残念ながら同機能はMP3での録音に限られる。HDD容量を節約するためにMP3で録りたいという場合は有効な機能だ。リニアPCMに相当するwav形式での録音ならパソコンでの録音とは思えないほどレンジが広く、音色も豊かで、本格的なオーディオシステムで再生しても不満なく楽しめる。NAC-HD1に比べると低域のエネルギーが控えめだが、中高域の粒立ちの良さとスピード感はなかなか健闘している。
■質の高い音源はクオリティを落とさずに録音したい
ミュージックバードで流れる音楽を長い時間聴聴き続けてもストレスを感じないのは、リニアPCM音源の恩恵である。聴いた瞬間、まず音の鮮度が違うことに気付くが、長い時間聴いた後に実感するのは、まさに耳と身体がリフレッシュされる感覚。放送というよりは自宅のステレオで次々にCDを再生しているような充実感を味わうことができる。
それだけ質の高い音源なので、録音するときにもそのクオリティを落としたくないとつくづく思う。今回試したHDDオーディオレコーダー、パソコンへのPCM録音は、いずれもその期待に応えてくれたし、使い勝手の点でもDATを超えている部分が多い。ミュージックバードとHDD録音は想像以上に相性がいい。それがわかったことが今回の取材の大きな収穫である。













