Uni-QはKEF独自の同軸ユニットだが、改良を重ねてその度に性能を伸ばし、ついにこのオースティンにたどり着いた。そのMUONと同じオースティンUni-Qを搭載したのが“Austin Reference”シリーズである。
実際その特性は±3dB以内で300Hzから55kHzにまで及び、通常ならユニット3個分程度のレンジをカバーする。従ってこれにウーファーを加えるだけで、十分な帯域を持つスピーカーを設計することが可能だ。ここに取り上げた両機とも、そうした設計である。
キャビネットはフロントバスレフ型だが、それぞれのウーファーに別々のダクトを与えている。内部もそれに伴って仕切りが施され、最適なチューニングが施された設計である。
本機の幅は約25cm、高さはおよそ1m。ブックシェルフタイプをスタンドに乗せたのとほぼ同じサイズになるが、少し広めの部屋に置くと頼りなく見えるかもしれない。しかし音を鳴らしてみればわかるように、これで十分な再現性を得ることができる。
こうした質のいい低音を基礎に、誰もが感じるのはつながりの滑らかさに違いない。Uni-Qの高域再現には全く不安がなく、どんなに鋭い信号を入れても歪みを出さないようにさえ思われる。アカペラの強烈なソプラノでも伸び伸びとして透明度が高く、またシャープな声の表情にも余裕がある。あるいはボーイソプラノでも豊かな余韻が遠くの方まで広がっている印象で、そこに声の肉質感が重なって実在感に富む。ボーカルなどはぴったりはまった感じで、声の自然さ、表情の細かさなどがなんの無理もなく出てくる。
一体感が高いのはUni-Qのレンジの広さを考えれば当然ともいえるが、その広いレンジの中に凹凸がほとんどなく、どんな音も均質なレスポンスで描き出される。このナチュラルそのものの再現性には、性能の裏づけがしっかりと備わっているわけである。
205/2はこれより一回り大きく、ウーファーに8インチ(20cm)ドライバーを使用している。構成は203/2と全く一緒で、ダブルウーファー3ウェイである。サイズもごく一般的なフロアスタンディングの大きさといっていい。
このモデルでは低域レスポンスが35Hzで-6dBとなっている。能率が90dBと現代では割合高めなのも、鳴らしやすさとともに反応の速さに貢献しているといっていい。
一体感の高さも203/2と同様で、これだけの大型モデルにしては異例といえるほど帯域の切れ目がない。大口径ウーファーと違ってスピードが速いという点も見逃せないだろう。ジャズではキックドラムのアタックが明快で十分な量感も備えている。厚く、そして切れがいい。ボーカルやアカペラの再現性も一回り深い気がするが、オーケストラでもピアノでも何を聴いても違和感がないのが一番の特質といえる。
わずかに暖かみを持った音色は、ニュートラル指向のスピーカーにありがちな冷たさがなく、クリアだが肉質感にも富んでいる。それがぴったりと平らなレスポンスに乗って、ナチュラルそのものの質感を描き出すのである。位相が揃っていることはいうまでもない。実に申し分のない完成度である。
Model 205/2