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大賞は講談社

芸術・文化振興を表彰する「メセナアワード」を富士フイルムやキヤノンMJなどが受賞

2018/12/03 Senka21編集部:竹内純
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公益社団法人企業メセナ協議会は、10月26日に発表した「メセナアワード2018」の贈呈式を開催した。

優秀賞を受賞した富士フイルムの関係者。前列中央が助野社長

メセナアワードとは、企業や企業財団、それらの連合体が取り組むメセナ(芸術・文化振興による社会創造)活動を表彰するもので、1991年に創設された。第28回を迎える今年は、全国152件(80社・団体)の活動の中から、メセナ大賞の(株)講談社「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」はじめ、5件の優秀賞と特別賞(文化庁長官賞)を選出。優秀賞を富士フイルム、特別賞をキヤノンマーケティングジャパン(株)が受賞した。

富士フイルムは、「写真の過去・現在・未来」の発信に加え、人と人をつなぐFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)の活動が対象となり、優秀賞 “瞬間の芸術賞” を受賞。登壇した同社代表取締役社長COO・助野健児氏は「1934年の創業以来、写真の素晴らしさと価値を広く伝えることに邁進してきました。われわれは写真の文化を後世に伝えていくことが使命であると強く感じています。小さかった頃、ご両親が撮った写真をアルバムに整理し、宝物としてお持ちの方もたくさんいます。そうしたアルバムを開くと、ひとつひとつの写真を撮っている方の笑顔が浮かんでくるのではないでしょうか。もう、アルバムの中でしか会うことができない人の笑顔もいっぱいある。写真はこのように、喜びも悲しもみ感動も愛情も、多くのことを伝えていくことができる貴重なツールです」と写真の担う重要な役割を訴えた。

優秀賞の富士フイルム「写真の過去・現在・未来」を発信し、「人」と「人」をつなぐFUJIFILM SQUAREの活動

「富士フイルムスクエアは、この写真文化を伝える拠点。富士フォトサロン展示場、写真博物館、富士フイルムフォトコレクションの3つの柱があり、2007年の開設以来、年中無休・入場無料で600万人を超える皆さんに来場いただき、写真展は累計で1,300回を超えます。写真を提供していただく方、鑑賞していただく方との双方向のコミュニケーションとして成り立っている活動です。皆さんの心を豊かにし、豊かな心を持ったものが将来豊かな社会をつくっていくことができる。その活動の中心が、写真文化を普及させていくことだと確信しています。富士フイルムスクエアの活動を通じ、写真の良さを育み、後世に伝え、心豊かな社会をつくることに貢献していきたい」と力強くあいさつを締めくくった。

特別賞を受賞したのが、ぺんてるとキヤノンマーケティングジャパンによる「校舎の思い出プロジェクト」。少子化が進む中、建て替えや統廃合で取り壊される校舎全体をキャンパスとして絵を描き、その模様を児童が自ら一眼レフカメラで収める、最後の思い出づくりをサポートするプロジェクトだ。

特別賞を受賞したぺんてるとキヤノンマーケティングジャパンの関係者。前列中央右がぺんてる・和田社長、左がキヤノンマーケティングジャパン・臼居専務

登壇したぺんてる(株)代表取締役社長・和田優氏は「当社1946年、戦後の荒廃の中で創業者が、これからは子供たちの教育だと、絵の具やクレヨンなど画材製品を生業とする会社を立ち上げます。これをもってもっともっと社会に貢献せよと。今回の受賞で、それが実ったように思います。キャノンマーケティングジャパンさんと御一緒させていただいたことにも感激しており、わたしたちは単なる思い出をつくるということですが、その思い出を残さなければいけない。その重要な役割を担っていただいています。廃校になるキャンパスに絵を描いて、最後にニコっと笑う子供たちを見ていると、感性を育てることを本業にしてきて本当によかったと思います。これからも地域や社会に貢献する企業として頑張って参ります」と取り組みのさらなる強化へ向けた決意を示した。

最後の思い出づくりをサポートする、特別賞を受賞したぺんてるとキヤノンマーケティングジャパン「校舎の思い出プロジェクト」

続いて、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役専務・臼居裕氏は「創業50周年の区切りの年に栄えある賞をいただき大変喜んでいます。このプロジェクトは、子ども達が絵を描きますが、現場に行くと、キャッチコピー風に言えば、『みんなで描いた絵、それはそれでアート』みたいな感じなんです。さらにそれだけではなく、そこには、雰囲気や香り、去っていくものへの感謝、愛着、愛情、哀愁といった気持ちがいろいろなところにあって、ひとつの場所をつくりあげています。子ども達は成長し、何十年か後に再開し、熱く語ることもあるのではないでしょうか。その姿を見ることはできませんが、そうした楽しい姿を想像しながら、このプロジェクトを応援してきています。そうした雰囲気を映像にできているかどうか、それが今後の課題です。これからも一生懸命取り組んで参ります」と大切な思い出を残すことの意義を述べた。

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